第14話 声の先

私は隣で話すハルの声で目が覚めた


「はい、いや、まだ誰にも話してないです。

来週ですか、わかりました。」


私は目を開かないように必死だった

なに、私に話してないって、誰と話してんの?

一旦気持ちを整理してからハルに声をかける


おはよ


ハルは少し動揺しながらこちらを振り向き返した

「あぁおはよう。今日は起きるの早いな」


う、うん、そだね


だめだ私いつも通りなんて出来ない

気になって仕方がない

でも何故か聞いてはイケナイ気がする



朝ごはんつくろ?


そうだ平常心だ

ハルはいつもの顔で頷く


相手はだれだったんだろう、話って?


ザクッ!


痛っ!

私はぼーっとし過ぎて手を切ってしまった

私が血を流そうとした時、ハルのスマホが鳴った

隣に居たハルはスマホの方へ向かい、スマホを手に奥の部屋に行った。


一旦遠ざかったハルの着信音がまたすぐに近づいてきたが、ハルは「しつこいなぁ」と言いながら音を消した

そのままハルは私の前に来て、「どこ切った?」

と聞いた


人差し指

私が答えると右手でスマホをポケットに入れて、左手に握っていた絆創膏を巻いてくれた


絆創膏を指に巻くハルを見て私は少し安心した


電話出なくてよかった?

私は少し怖かったけど聞いた


「あぁ、大丈夫だよ、というか結構深く切ったなぁ。こっちの方が大丈夫か?」

ハルは血の付いた手を拭きながら返した


絆創膏取りにいってくれてたんだ




朝ごはんを食べながらハルが

「今日ちょっと出かけてくる、夕方には帰る、また遅くなるようだったら連絡するよ」

と言った


私は色々言いたい…けど、我慢した

うん、わかった。


洗いものはハルがしてくれた。

濡れた手を拭き、荷物を持ってハルが玄関に向かう

「じゃあ行ってくる」


うん。いってらっしゃい

少し下を向きながら返した


バタン!

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