第13話 ハルだけの.........。

〜2ヶ月後〜

ピロン♪

サヤからのメールだった


「おっつー!今日泊まっていい?」


なんだか最近よくサヤが泊まりに来る

次の日が仕事でも来る


まぁ賑やかでいいけど…


おん、わかった。今日は定時だけど、サヤは?


送信した後、時計を見る。

やべ、休憩残り10分しかない


トイレを済まし戻って来ると返信が来ていた


「私も定時ー。でも、ちょっと用事あるから、7時半にいつもの駅でいいー?」


7時半か、水きらしてたし、買い物しとくか


あぁ了解

と、返信した



約束の20分前に駅に着いてしまった。

早すぎたな。


と思ったが


「はやいねー」

後ろからサヤの声がした


おう。用事早く終わったのか?


「うんー、用事っていっても買い物してただけだしー」


そうか

じゃ行きますか。


もうこの道も今週で2回も、サヤと帰っている





ご飯をすまし、風呂に入る。

あれ以来よく一緒に風呂も入る

もうお互い慣れてきて恥ずかしさは無い


2人で風呂をあがり、リビングで、俺がサヤの髪の毛を乾かしている時にサヤが言った

「ねぇ、今日これ観よ」


サヤが持っていたのは俺が高校生くらいの頃に、やっていたホラー映画だった

俺も名前くらいは知っていたが…


あー、俺ホラー苦手なんだよな


ドライヤーのスイッチを切りながら返す


「私がいるから怖くないよー、ねぇ観よう

怖がるハル見たいー」


えー、まあいいけど



そういや、最近よく泊まりに来るけど

なんか悩んでんの?


俺は聞きたかったことを聞いた


サヤはDVDを、テレビにセットしながら

「んー?悩みとかないけど、ここに住もっかなって思ってさ」


あー、そうなんだ。って!?え??ここ!?

誰の部屋か知ってるよね!!!?

俺はすごく驚いた


「誰ってハルの部屋じゃん。何言ってんの」

サヤはすごく冷静だった。


それって、同棲……っていうやつなんだよな?


俺が返すと、あぐらを組んで座る俺の上に座って言った


「そだよ、ダメ?ここ広いじゃん部屋いっぱいあるし、ちゃんと家賃払うからさー」


いや、家賃とかはいいけど、心の準備がさ


「なんの準備もいらないじゃん。毎日私の寝顔見られるよ?私が休みの日はおかえりって言ってあげるよ?それにお風呂も毎日一緒に入れるよ?いいことしかないー」


とサヤはすごく楽しそうに言った


しゃーねぇーなー


俺は照れを隠すためにサヤに後ろから抱きつき、そう返した


「えへへ、やったー、ハルと同棲だ!」


サヤが再生ボタンを押し、最初の宣伝ムービーが流れる





宣伝ムービーを見ている時に

ねぇ、ハルこの中なら誰が1番タイプ?


DVDのジャケットに写る3人の女の子をみせながらハルに言った


「んー、そうだなー、この子かな」


ジャケットの右端に写る私を指さして言った


な、なんでこの子なの? 私は少し動揺しながら聞いた


「えー、なんか、素直そうで、バカっぽいから、ほっとけないかな?」


そ、そっか。私は、早く送りして本編までとばした


ハルは、後ろから私を抱きしめながら映画を見ていた

ときどき、私の頭に顔をうずめたり、ぎゅっと抱きしめていた

本当にホラー無理なんだ


映画が終わりエンドロールが流れて

私の名前が画面に映る


「えっ!ちょちょっと待ってサヤ、巻き戻して!」


ハルが大声で私の耳元で言った


もう!耳元でおっきい声出さないでよ!


私は巻き戻す 私の名前が中央に来ているところで止める


「この、○○沙耶って…」


ハルがそう呟いた


私は振り向き、

そうでーす、私でーす、ハルがさっきタイプって言った子私でーす。


そう返すと


ハルは魂の抜けたような顔をして私を見て言った

「そういや、クラスで話題になったことあったわ、この映画のこの子可愛いって」


嬉しいなー、それがなんと!あなたのものです!

この笑顔も、声も全てあなたのものです!


ハルの頬をつねり言った


「う、うん、知らなかった。女優やってたんだ…」


映画はこれだけだよ、女優というよりモデルかな?

あのー××って雑誌知らない?女の子がよく見てるやつ


「それくらい知ってる」

ハルがそう返す


そこのモデルやってたんだ表紙も何回かやったことあるよ?それで、この映画やるから出てくれないかーって言われてでちゃってましたー


「ちょっと待ってな、俺の彼女は元モデルで、今は俺の彼女?」


まーそーなるね!


ハルは はーーっと息を吐きながら後ろに倒れた

私も、仰向けに寝転がるハルに対面で重なって倒れた


「だから体つきが…」

とハルが言い出した時に手で口を塞いだ


そ、それは言わないで!結構恥ずかしいんだよ、歩いてても見られるし。


ハルは笑いながら私を抱きしめて言った


「でも、今は俺だけのサヤなんだろ?」


私はドキっとした。

何故か胸の鼓動が早くなる

だめ、ハルと引っ付いてるからバレちゃう


「う、うんそうだね」

ハルの胸に顔を押し付け言った


私を支えながらハルは起き上がり、右手でテレビを消しながらキスをした


テレビの明かりが消え、部屋が少し暗くなる

映画を見るから、部屋の明かりも暗めにしていた


ハルは私を抱き抱え布団の敷いてる部屋に運んだ


布団に優しく寝かされ、ハルが上から重なり、両手を握られる


ドクンドクンドクンドクン

心臓の音が耳に大きく聞こえる


またハルが優しくキスをする


ねぇハル……


私がそう言うと


「サヤ、なんかない?」

ハルがそう耳元で囁いた


私は目を閉じながら返す


うん。いいよ…

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