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――4年後

『本日の特集は、ある変わった食べ物についてです。中継がつながっています。現場は蜷川にながわさんです』


「はい、蜷川にながわです。今話題の食べ物と言えば……皆さんもうご存知ですよね?そうです、ゾンビ肉です。カロリーが低く味が良いことから人気を集めています……」



――7年後

『次は特集です。今外国人観光客に密かな人気となっているモノがあります。中継がつながっています。現場の中村さん、お願いします』


「いま外国人観光客に密かな人気を集めているモノ、何だと思います?こんにちは、リポーターの中村です。私の後ろの建物を見てもう分かりましたよね?そうです、ゾンビ肉です。なぜゾンビ肉が人気かというと、恐ろしい怪物であるゾンビを食べることが勇敢ゆうかんあかしとされているからです。以前にフグを食べることがブームになっていましたが、それと同じで、食べられるはずが無いものを食べるということが人気の秘密となっています……」



――10年後

『次は特集です。いま絶滅が危惧されているアレについてです。中継がつながっています。現場の足立さん』


「足立です。十数年前までは厄介者として嫌われていたゾンビですが、今では絶滅の危機にあります。原因はその肉が世界的に人気となったことです。密猟が相次ぎ、野生のゾンビは数を減らしました。今ではほとんど見ることがありません。現在ゾンビ肉の価値は高騰し、闇市場でもなかなか手に入らない状況と言われています。さらにゾンビを奴隷とし、性交渉をする者もあらわれたと言われています。こうした現状からゾンビ保護団体は、ゾンビ保護の啓発、密猟者を独自に捕まえるなどの活動を活発化させています。中には密猟者を処刑する映像をSNSに投稿し物議をかもした団体もいました。すでにこの団体は警察に捕まっていますが、それにも関わらず、密猟者の数は増える一方です。ゾンビの数を減らす要因はもう1つあります。ある宗教団体が『ゾンビは悪魔の使者である』として、ライフル協会と手を組み、ゾンビ駆除に取り組んでいます。この活動がゾンビ保護団体と衝突する原因となり、各地で小競り合いが続いています。国はこうした状況の中、野生のゾンビを保護対象とし、触れることも禁止しました。すると今度は養殖のゾンビが盗まれるという事件が相次ぎ、被害額も増加しています」


『困ったことになっていますねぇ。足立さん、何か良い手立てはないのでしょうか?』


「はい……」


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