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『津村さん、スタジオの生見です。ゾンビといえば噛みつきですが、津村さんのゾンビに噛まれない対策を教えてください』
「そんなものは無かですねぇ。噛まれたくなかったら近づかんとが一番です。どうしても近づく時は、スタンガンでバチバチして気絶させるとが良かですよ。というか、俺はよう噛まれとっとですけどねぇ」
『噛まれてるんですか?』
「よう噛まるっとです」
「ちょ、ちょっと待ってください。それって津村さんも感染してるってことですか?」
「感染ってあんたぁ、いつの話しばしとっとねぇ。確かに昔は噛まれた人もゾンビになったようやけど、それは昔の話したい。今は噛まれてもゾンビにはならんとよ。赤ちゃんゾンビも生まれて直ぐに俺に噛みついたとよ。ほら、こん手の指ば噛まれたと。ばってん見ての通りどうも無かやろ?」
「たしかにそうですね」
『桜井さん大丈夫ですか?』
「……」
『桜井さん、続けられますか?』
「……はい、だいじょうぶです。……赤ちゃんでも噛むんですね」
「ああもうゾンビの子はゾンビなんやね。噛まれてもゾンビにはならんとけど、肉ば食いちぎろうっちするとでねぇ、それだけは注意せんばいかんとよ。あの赤ちゃんも指ば食いちぎりに来たけんねぇ」
「じゃあ、ゾンビと接する時は厚手の服や手袋をしたほうがいいですね」
「そうねぇ、さすがに首ば噛まれたら終わるとで、首は特に注意したほうが良かでしょうねぇ」
「大変勉強になります。津村さん、今後の展望をお聞かせください」
「今はゾンビ見学ばしとっとです。赤ちゃんが生まれて来場者も増えとるとですけど、あくまでもここは養殖ばしとるとです。ですけんゾンビの肉ば流通させたかと思うとるとです」
「ゾンビの肉って食べられるんですか!?」
「いや知らんとけど、食べられたら良かねぇっち思うとっとです。ばってん研究所に持っていっても『分からん』て言われるだけやけん、自分で試すしかなかとでしょうねぇ。なんだかんだで死肉ですけん、食中毒になるとが怖かとですけどね」
「そもそも、養ゾンビ場を始めたのは、ゾンビが不憫だったからですよね? ゾンビの肉を商品にするのは矛盾があるように思うのですが」
「なぁんも問題なか。人の役に立つとですけん、ゾンビも喜びますよ」
「そうですか。今日はゾンビ養殖で人気の霊園からお送りいたしました。津村さん本日はありがとうございました。スタジオの生見さんお返しします」
『はい、桜井さんお疲れさまでした。いやー非常に興味深い話が満載でしたね』
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