第二章 それはいつかの春のこと

4. 愛の告白反省会

「それでは、今から第八回愛の告白反省会を始めます」


「……」


 今度は異議を挟みませんでした。私自身、反省すべきところがあると分かっているからです。


 私たちは今、御器所ごきそ駅前のスターバックスに来ています。夕方の店内には、私たち同様、制服を身に着けたままの若人の姿が多く見られます。吉奈さんや河津さんとおつきあいしているうちに、私も寄り道という校則違反に抵抗を覚えなくなってしまいました。


「天城があんだけテンパるとか、珍しいもん見たわ」


 吉奈さんがプラスチックのカップを揺すると、大きな氷がごろりと音を立てます。


「以前お話したときには然程緊張しなかったのですが……」


「意識しちゃうともうダメかー。困ったもんだねー」


 河津さんはテーブルに突っ伏してそう呟きました。


「ま、時間かけて慣れていくしかないっしょ。焦んなくても、伊東に今すぐ彼女ができるとかないから」


 吉奈さんはそう言って鼻で笑いました。


「いえ。そういうわけにもいかないのです」


 私の声音に切実なものを感じたようで、吉奈さんと河津さんは顔を見合わせました。


「何か急ぐ理由があるのかな?」


「つかさ、何でそんな急に伊東のこと気になりだしたの? 夏休みにはそんなことなかったじゃん」


「……」


 返事に窮し黙す私を、お二人は待ち続けてくださいました。


「……近々お話しようとは思っておりました。どうやら今がそのときのようです」


 大きく息を吸い、そして吐き出します。


「伊東秀和さんと初めてお会いしたのは、いつかの春のことでした」


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