第6話 一ー六
『何がサッカーだよ!』
由香が去った後、俺はしばらくそのカフェに独りたたずんでいた。いや、正確に言うと、俺はその場から動けなかった。俺は決して霊感は強い方ではないが、その時は金縛りにあったのではないかと思うほど、手も足も言うことをきかなかった。
そんな「金縛り」にあった俺だがとりあえず注文はできたみたいで、由香が好きだった甘めのカフェオレを無意識のうちに注文する。そしてそれを口に入れると―、ミルクのほんのりした甘みとコーヒーの苦みが溶け合ったいい味がする―はずが、今日だけはやたら苦みの方が増しているような感じがした。
そして俺は思う。食べ物・飲み物の味は、その人間の精神状態によって変わるものだ、と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます