第11話 敗色濃厚

クライマックスシリーズは2連敗の後に1勝をあげてタイ(優勝チームは1勝分のアドバンテージがある)にしたが、4戦目で敗戦して後がなくなった。


ペナントレースでは主戦捕手だったにも関わらず、俺の出番はなかった。


当然ながら文藝砲の影響だ。


火のないところに煙が立たないといった感じで、誰もが腫れ物を扱うように接してくる。


そして、俺と同様に疑われている2選手も同じようになっているため、チームの雰囲気は絶望的だった。


今回の文藝砲が相手チームによる策略だとしたら、これだけ戦力を削減できているのだけら、大成功と言えるだろう。


そして、5戦目も敗色濃厚になった7回についに守備から出場した。


そのまま敗戦してシーズン終了かと思ったが、8回に味方が反撃開始。


ランナーがすべて埋まった満塁で自分の打席になり、打ったらまさかの逆転満塁ホームラン!!


プロに入って満塁ホームランを打ったことがなかったので、ダイヤモンドを回っている間はガッツポーズをしまくってしまった。


ベンチに戻ると、逆転を目の当たりにしたチームメイトは大興奮で盛り上がっていた。


しかし、監督をはじめとした首脳陣は誰も俺と目を合わせなかった。

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