第4話 高校野球とトラウマ

高校野球とトラウマ

高校野球の季節になった。


もちろん、俺もかつては高校球児だったのだが、いまの夏はヤバすぎるだろ。気温は高すぎるし、日差しは強すぎる。溶けそうだ。


俺は高校野球には良いイメージはない。下級生のときにベンチ入りメンバーとして甲子園へ行ったが、主力として臨んだ3年生のときは県大会で負けた。


それも、俺のエラーで負けた。あれはキツイ。今でも、あのパスボールは夢に出てくる。


あのとき、投手が投げる前に集中力を切らしてなかったら防げてたのではないか。タイムを取っていれば、一息ついていれば、もしかしたら……


未だにこの夢を見ると、どうしたらミスを防げたかを考えてしまう。


あれ以降、俺は変わる努力をした。大学入ってからはワンバウンドのボールの対応を徹底的にやったので、今では球界で一番うまいと言われている。自分の中ではあのトラウマがあるので未だに不安だが、克服はできていると思う。


でも、あの怖さは忘れられない。いつか、また大きな場面で再びパスボールをしてしまうのではないかという恐怖が常に襲ってくる。


だから、毎試合前の練習は欠かせない。


今さらワンバウンドの練習をやってると、チームメートと記者には思われているかもしれないが、精神を安定させるために必要な練習だ。


いらぬ事を書いてしまった。こんなことは、恥ずかしいから絶対にメディアには言えないな。ここだけに、こっそり書いておこう。

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