第53話 都知事選前に“切れ味”鈍る小池知事
東京都の小池知事のが2選を前に再び揺れています。新型コロナウイルス対策をめぐって、経済活動の休業要請を緩和・解除するための4段階のステップで、ステップ2に格上げしたばかりの6月2日、都内の新規感染者数が34人を超えたからです。30人を超えるのは19日ぶりとのことで、都は同じ日の夜、東京アラートを発令しました。
「アラート」の意味は「警報」です。中身は、都民に『感染防止に警戒して下さい』とのメッセージです。カイロ大学を卒業し、何かと横文字を多用する知事には「釈迦に説法」でしょうが、「注意」を意味する「アテンション」より強いメッセージのはずです。「東京アラート」を発令しておきながら、緩和基準を引き下げないのは矛盾する政策に他なりません。ウラに透けて見えるのは、サービス業に携わる関係者やこれまで自粛要請に協力してきた都民の反発を招きたくない、という心理です。
都知事選は今月18日告示、7月5日投開票のスケジュールが決まっていて、これまで自民党が小池氏支援を表明し「無風」での再選が予想されましたが、堀江貴文氏や熊本県副知事の小野泰輔氏の出馬表明で一転、様相が変わりつつあります。選挙を直前に控え、知事に焦りが見えても不思議ではありません。できれば避けたかった「東京アラート」の発動で自粛緩和することが、有権者のストレスを高めることは容易に想像できます。ですので、「アラート」は発動するものの、緩和基準の「ステップ2」は維持したまま、という矛盾する決断になったわけです。
振り返れば、3月にIOCがオリ・パラ2020東京大会の延期を決めるまでは、政府も都も、コロナ対策には消極的でした。少なくてもそう見えました。『オリ・パラ開催のために新型コロナウイルスの蔓延の深刻化は大問題にしないまま、沈静化したい』、というのが切なる希望だったに違いありません。その証拠にマスコミ報道にもあるようにIOCの1年延期が決まるやいなや、オリ・パラの中止という最悪の事態が当面回避された安心感からか、コロナ対策に大きく舵を切りました。
ここに来ての不安材料は都知事選です。延期されたオリ・パラとも関係しますが、2選が果たせなければオリ・パラを知事として迎えることはできません。築地市場の豊洲移転も順風満帆ではなく、地下汚染や不透明な盛り土問題など難航を極めました。更にここに来ての学歴詐称問題の表面化。対立候補も浮上したことが、中途半端に映る今回の政策決定に影響したとみて間違いないでしょう。2週間後に迫った都知事選では、きっと現職の小池知事は有権者のハートを射るために、仲良しの小泉純一郎元総理ばりに必殺のワンワードを用意するのでしょう。その矢が当たるか、外れるか興味は尽きません。
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