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 夏と遥は、同じ服を着て、同じ部屋の中でお互いが向き合うように立っている。

 こんなへんてこな状況を仕組んだのは、もちろんこの研究所の主人である遥だった。

 夏は呆れてものが言えない。

「どう? 似合ってる?」

 すると呆れている夏を横目に、嬉しそうな顔で、冗談ぽい声音で、スカートの両裾を手でつかんで少しだけ持ち上げながら、遥が言った。

「うん。まあ、似合ってる」

 お揃いの服を着る、という恥ずかしい状況はともかく、真っ白なワンピースは遥にとてもよく似合っていた。私とは全然、大違いだと夏は思う。

「ありがとう」

 そう言って、遥は嬉しそうに微笑んだ。

 とりあえず、夏は椅子に腰を下ろした。

 すると遥も同じように椅子に座った。

 小さなテーブルを挟んで、二人はお互いの顔を見つめあった。

「どうしてワンピースなの?」と夏が言った。

 夏はスカートがあまり好きではなかった。学園の制服など、公的な場合はともかくとして、私的な環境下では、夏はほとんどスカートを履かなかった。その夏の好みを、もちろん遥は知っている。

「たまにはいいじゃない? ね?」遥が言う。

「……うん。まあ、たまには、ね」ワンピースの裾を小さく持ち上げながら、夏が言う。

 二人はそれからサンドイッチをつまんで食べた。

 サンドイッチは遥の手作りだった。

 卵とハムと、それに黒胡椒で味付けをしただけの、四角い形をした、シンプルなサンドイッチ。きっと夏が地上を走っているときに、遥はサンドイッチを作っていたのだろう。それを遥がキッチンから持ってきてくれた。

 夏は遥の手作りのサンドイッチを手に取ると、口に運んで、もぐもぐと両頬を動かして、それを食べた。飲み物はアイスコーヒー。夏はそれにガムシロップとミルクを一つずつ入れてから、ストローでかき混ぜて、それを飲んだ。

 細長いアイスコーヒーのグラスの中で、いつくかの氷がからからと音を立てた。

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