第34話 攻めすぎでしょうか?

奏さんのメールを読んで、

何も返信を出来ない俺は臆病ですか?

それとも、愚か者ですか?

神様でも、仏様でも、いつも修正とダメ出しや変更を指摘する編集者でもいいから教えて欲しい。


どうすることが正しいのかを!


時間はメールを読んでから過ぎていく。

焦る俺、震える心、

進まない原稿とせまる締切。


この際、締切なんかどうでもいい。

言い過ぎた、締切は守らないとダメ絶対。


奏さんがどう感じてくれたか、どう思ったか、どう思っていて欲しいか。

終わりなき自問自答だ。


自分の気持ちを文字にして伝えて、その返事がきたんだから、次は俺の番…のような気がしている。


奏さんに封筒を届ける時、あんなに緊張も悩みもしたじゃないか。あれに比べたら軽いもんさ…と、自分を鼓舞してマウスを動かす。


───奏さんへ

メール読みました。それと封筒の中身を読んでくれてありがとう。


自分で悩んで、考えて、出た気持ちや答えが自信がないのも不安なのも、自分でもわからないのも俺も同じです。

でも独りじゃダメなら二人なら新しい答えが見つかるかもしれないなんて思ってみたり。


もし良かったら、会って話しませんか?

明日昼から待ってます。初めて会ったのと同じ、あの喫茶店のあの席で。

────────────────────


大人のくせに、小説家なんかしてるくせに、

ようやく絞り出したそのメールを送信する最後のクリックは、恥ずかしいほど震えてた。

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