第63話 吉報

時は戻り、マキ達の前には貫かれ粉々になった瓶の残骸が机の上に散らばっていた。

菜々の手は瓶の蓋を持ったまま固まっていた。かくいう私もあまりの出来事に口を閉じることができなかった。

その中唯一マキちゃんは何もわからず、ただオロオロしていた。

数分後、ようやく気がついたのか菜々が蓋を机の上に落とした。


「ど、どうしましょう今日はこれしか持って来てなかったのに・・・」

「また、作れば良いじゃない・・・て言いたいんだけど、レシピは無いのよね」

「うん、これはまた作り直しかな」

「今度はどれくらいかかりそうなの?」

「うーん、今回のこの薬が奇跡的な成功だとすると、一年くらいはかかるかも」

「そんなにかかるの!?」

「素材とかもちゃんと覚えてないから」

「もう、メモを取っていればこんなことには・・・!」

「これに関しては私からは何も言えないわ」


落ち込んでいる二人の元へ一本の電話が入った。

かけて来ているのは菜々の父親だった。


「もしもし」

『おい菜々、お前またちゃんとまとめずに帰ったな!全く、お前は昔から・・・』

「ああああああ!!その話はそれくらいにして!何か用事があったからかけて来たんでしょ?」

『おぉ、そうだったな。今回作ってた薬のレシピ、ちゃんとまとめておいたからあとで確認しておけよ』

「ありがとう、お父さん!!」

『お、おう』


そう言い残すと菜々との電話が切れてしまった。

あいつは昔からズボラな癖があったな、。数年前までは子供だったんだが、いまではもう立派な大人だ。

だから今回こそはなるべく手伝わないようにって思っても、結局論文作りとか読書感想文はやってしまうんだよなぁ。

そろそろメモを取るっていうことの大事さにも気づいて欲しいんだがな。

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