第35話 ノートその1

今日の朝、予定通りマキちゃんが菜々と旅行に出かけた。

マキちゃんを玄関まで見送った後、私はすぐさま自分の部屋に戻った。

そして菜々から貰ったノートを手に取った。・・・ここに私の知らないマキちゃんの事が書いてある。

一度ノートを置き、深く深呼吸をした後置いていたノートを拾い上げ、ページを開いた。


『◯月×日 今日、マキちゃんの裁判が終わった後マキちゃんを私の実家に連れ込むことに成功した。

運び込むまでマキちゃんに話しかけ続けていたが一切言葉を返してはくれなかった。

私が顔を覗き込んでも何も反応してくれないのは少し悲しかった。』


『◯月△日 もうすぐマキちゃんの手術を始める事になりそうだ。今のうちに意識も戻らせよう。

スタンガンを当てて見ると、身体を大きく震わせた後に当たりを見回し始めていた。どうやら意識を取り戻したらしい。

私の事を見た瞬間に怯えだしてしまった。その表情を見た時、私はとても嬉しかった。』


『◯月◯日 震えているマキちゃんの元へ行き、マキちゃんの頭を撫でてみた。

すると、すぐに手を叩かれてしまった。そんなに嫌なのだろうか・・・いや、これが俗に言うツンデレなのだろう。

仕方がないので、マキちゃんが楽しめる様にエリの話をした。すると、マキちゃんは黙り込んでしまった。』


『◯月□日 エリの話をしてからマキちゃんは喋らなくなってしまった。

仕方がないのでマキちゃんの身体をベットに固定し、地下室に移動させた。もうすぐで生まれ変われるね。』


『△月◯日 三ヶ月にも及ぶ大手術だった。マキちゃんがどんな感じになったのか早速確かめにいった。

なんと私の事を見ても怯えないし、怖がりもしなかった。寧ろ好意を抱いていた。

昔とは随分変わってしまったけれど、とても可愛らしくなった。』


『□月△日 マキちゃんの精神もだいぶ安定してきた。会話も問題なくできているし、私の事の記憶が完全に抜け落ちている。

エリを殺した時の事もちゃんと覚えてる。そろそろマキちゃんを刑務所に戻さないと。

しばらく会えなくなるのは悲しいけれど、また会えると良いな。

絶対に見つけ出す』


え、終わり・・・?残りのページ全部白紙じゃない!!

でも、何枚かは切り取られた跡が残ってるわね。何かまずい事でも書いたのかしら。

これだけじゃ何も手がかりなんて掴めないわよ・・・そう思っていた時、シロの携帯が鳴り出した。

電話をかけてきていたのは菜々だった。


「どう、もうノート読んだかな?」

「えぇ、読ませて貰ったわ」

「ふふ、どうだった?面白かったでしょう?」

「何言ってるのよ、何も面白くもないし情報も少なすぎなのよ」

「そう言うと思って、郵便受けに別のノート入れて置いたから」

「え、ノートってこの一冊だけじゃなかったの!?」

「当たり前じゃない、もう何冊かあるから順番に渡していくわ。それじゃあ私達は温泉を楽しんでくるから。バイバーイ」

「あ、ちょっと!」


携帯を置き、一階の郵便受けを確認すると菜々の言っていた通り、ノートが一冊入っていた。

菜々は一体私に何を見せようとしているの・・・?

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