第34話 旅行前夜

マキが仕事を休み始めてから一週間が過ぎた。

ここ最近はシロが体調を崩すことも無く、元気に生活している。この調子だと、来週くらいには仕事に復帰できそうね。

シロは私がしばらく仕事を休むって事を聞いた時に驚いていたけど、最近の私は見ていて心配だったからという事で納得してくれた。

今日もシロが学校に行った後に家事を済ませ、夕方頃に買い出しに出かけた。

今日の夜はどうしようか悩んでいた時、後ろから急に肩を叩かれた。


「こんばんは、マキちゃん」

「あ、菜々さん!こんばんは」

「夕飯のお買い物?」

「はい、そろそろシロも帰って来るので」

「どう?最近は」

「シロもだいぶ良くなったみたいで、もう少し様子を見て大丈夫そうなら来週には復帰出来ます」

「そう、それは良かったわ。あなたが居ないと私、とても寂しいのよ」

「そ、そんな・・・」

「それよりも、どう?今週末に旅行にでも行かない?」

「え、旅行ですか?で、でも・・・」

「大丈夫よ、シロちゃんが心配なんでしょう?その頃にはもうすっかり回復してるわよ」

「そ、そうですか・・・?」

「とりあえず、週末開けておいてね。それじゃ!」

「あ、行っちゃった・・・」


買い物から帰ると、既にシロが学校から帰って来ていた。

そうだ、シロに言っておかないと。もしかしたら止められるかも知れないけど、その時はその時だよね。


「ねぇシロ、私今週末菜々さんと旅行に行って来たいんだけど」

「いいんじゃない?たまにはマキちゃんも休んだほういいよ?」

「・・・え、怒らないの?」

「どうしたの急に」

「いやだって、前までなら菜々さんとは行っちゃダメ!とか言ってきたのに・・・」

「た、ただの気紛れよ。でも、休んで欲しいのは本気だけど」

「シロ・・・うん、私いっぱい楽しんでゆっくりして来るね!」


マキがご機嫌で料理を作っている時、シロは少しもやもやしていた。

菜々から渡されたあのノートを見るまたとない機会、今を逃せばもう二度と見られないだろう。

しかし、その代わりにマキと菜々を二人きりにするっていう事は納得がいかない。

納得はいかないが、このタイミングは明らかに私にノートを見せようとする菜々の作戦と考えると、割と安心できた。

私がこのノートを読み切るまでは少なくともマキちゃんに手は出さないだろう。

つまり、旅行を終え帰って来た時からまた勝負が始まる。この週末、絶対に何かを掴まないと。

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