第79話 会敵

衰える事の無い篠突く雨



過ぎ去る事無く鳴り続ける雷鳴



台風のように吹き荒れる暴風域に取り残されたメサイアの目に…



復活したバスタードがいた。



タタタタタタタタタタタタタタタタ



双頭の内片頭は食いちぎられ、消失しているがもう片頭はバイザーのようなシールド物に守られていた。



晒す肌は一片無くなり、完璧アーマードスーツで防護されるバスタード



さっきまでの形勢逆転が嘘のように、息を吹き返したバスタードが機関銃を撃ちまくり



バッタバタと地に伏せ、数が減っていくゾンビ達



バスタードがゾンビを裏拳で殴りつけるや、ゾンビの頭部が簡単にちぎれ、サッカーボールのようにコロコロ転がり



またハンマーパンチで脳天を叩くや、膝近くまで脚部が土に埋もれ、案山子(かかし)状態にされるゾンビ



確実に数は減らされ、着実にバスタードによって駆除されていった。



そんな光景に呆気にとられるメサイアの元へ慌てた様子の御見内が戻って来た。



御見内「メサイア すぐに移動するぞ」



メサイア「おい あれ見てみろよ」



御見内「それより早く移動だ」



メサイア「見ろって あいつ復活したんだよ」



御見内がバスタードを目にしながら和弓を拾い上げた。



御見内「ったくそのまま寝てろよ… もう森中敵だらけだ… 追っ手がすぐ後ろまで来てる 早く行くぞ」



メサイア「あぁ 分かった」



2人はバスタードとゾンビ達の交戦中を避ける為、ぐるっと迂回するルートを選び



川畑達が待機するポイントを目指した。



吹き付ける横殴りな雷雨



地面には、複数の水溜まりができ



枝や落ち葉が雨と共に乱舞する



そんなピークに達する嵐の森の中



ダッシュするメサイアがぬかるんだ地面に足を取られ、コケた。



御見内「おい 大丈夫か?」



メサイア「あぁ うあ 最悪だ…泥だらけだ…」



半田をかろうじて落とさずに転んだメサイアに手を差しのばす



御見内「すぐに立て」



メサイア「おい おぶって両手塞がってんだ ちゃんと起き上がらせろよ」



御見内「ったく世話の焼ける奴だ」



メサイア「テメェー マジでどの口がほざいてやがんだ なら代わりやがれ」



御見内「ほらよ」



御見内が装束の袖を掴み、メサイアを起きあがらせた。



メサイア「っかし こんな荒れた天候も久し振りだな」



御見内「あぁ そうだな あと2キロあるかないか… 足くじいてないだろうな?」



メサイア「ああ それは大丈夫だ…それは大丈夫なんだが… なぁ あの銃声止んでねぇーか…?」



交戦中であろうその先に視線を向けたメサイア



雷鳴や豪雨に掻き消された訳で無く

明らかに銃声は止んでいた



御見内「ほっとけって いいから行くぞ」



メサイア「あぁ」



2人は再度進み始める。



メサイア「何だか嫌な予感がするぜ…」



御見内「考えるな!さっさとこの森を抜ける事だけを考えろ 生憎ゾンビの大半はあの人形に引きつけられてて手薄だし、トラップも馬鹿なゾンビ達が先に引っかかってくれてるから…何も気にせずひたすら目指すのみなんだ だから余計な事は考えるな」



メサイア「あぁ 分かったよ…」



その時だ…



走行する2人の前方から金属を引きずらせるゾンビが現れた。



それも1体だけじゃない…



足を止めた御見内とメサイア



トラバサミを足に挟ませ、胸部や腹部、腕や脚にトラップの吹き矢を受けただろう槍やら刃物が突き刺さったゾンビ達



そんな10体以上もの屍人の群れがいた。



メサイア「…って何が手薄だよ 言ったそばからゾンビ様の大群お出ましじゃねえか さっさとそのお得意の弓矢でバッタバッタと射抜いてくれよ」



御見内「いや この強風じゃ矢は使えない」



メサイア「銃は場所がバレるから無理だぞ……ならこの人を一旦下ろそう!こうなったら2人でやるしかねぇーよ あんなノロマ達なら協力すれば半分くらいはいける ナイフ貸せ」



御見内「駄目だ おぶってろ 動きたい時に迅速に動けなくなる それにナイフはさっきの戦闘で使っちまって無いよ」



メサイア「無い?じゃあ接近武器はその投げ槍しか持ってないのか?」



御見内「そうだ」 



メサイア「どうすんだ?また迂回とか言うなよ ちなみにこの先は崖だからな」



御見内「分かってる」



進路を塞ぐゾンビの群れが迫って来る



それを見ながら思考する御見内



銃も弓矢も使えない…



打根だけでこの数をやるのは難しい…



これ以上迂回も後退も出来ない…



そして何より半田さんの状態が危ない…



時間が無い…



どうする…?



進退窮まるピンチな状況に立たされた御見内が迫り来る奴等の群れに視線を向ける。



距離15メートル



奴等は待ってなどくれない…



人肉を食す… この欲求のみが原動力で死した身体達はつき動かされ、肉を求め向かって来る。



メサイア「おい どうすんだって?」



数…20…いや…30か…



もうここは…



突っ込むしかない…



打根が垂らされ掴んだ御見内



御見内「突っ切るぞ」



メサイア「馬鹿 無茶はやめろ だから数が多すぎだって そんな武器だけじゃ…」



御見内「奴等は感染者と違って基本ウスノロだ 別に全てを相手しなくったっていいんだ 直線上の奴等さえ倒していけば きれる」



メサイア「それはおまえと俺の2人だったらの話しだ 怪我人背負ってる事を忘れるな」



御見内「勿論忘れてない それにおまえは何もしなくていい、その人をしっかり背負ってしっかりと俺についてくればいいんだよ」



メサイア「正気かよ そんな小物の武器だけで真っ向から突っ込む馬鹿なんて今まで見た事ねぇーぞ」



御見内「あれぐらいの勢力どうって事ない むしろ以前はこれくらい日常的だった ついさっき町民等の群れの中に紛れ込んだ時とかカーチェイスした時の方が断然恐怖を感じたくらいだ」



メサイア「こいつら相手に恐怖を感じないだと? もう何回も口にして疲れたわ… これを最後にラスト一回だけ言わして貰う やっぱりおまえはベラ(べらぼう)イかれてるわ」



御見内「あぁ そうかもな まぁ こんな狂った世界だ 今や世の中馬鹿とゾンビで溢れてる… これくらい馬鹿にならなきゃこの世は渡りきれねぇーよ」



小槍がしっかり握られ、目つきを変えた御見内



御見内「俺の後ろから離れるなよ」



メサイア「お…おう分かったよ」



迫り来る奴等が5~6メートルまで近づき



そして御見内が小槍を強く握りしめた



その瞬時



パァーン



何処からともなく銃声が鳴り響き



メサイアのすぐ横の幹に銃弾が直撃した。



メサイア「うわ」



メサイアは突然の発砲に驚き、身を怯ませ、辺りを見渡した。



また同時に御見内も辺りへと目を向けた。



そして2人の目に…



10メートル先でマカロフを握りし黒フードの姿が映った。



ゼビウス「チィ 外したか… だが次は外さねー 頂きだぜぃ」



側面より黒フード襲来



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