第17話 掌握

久々の食事にありつけたのか…



5つの死体を骨の髄までしゃぶりつくす感染者の集団



引きちぎられた衣服と血液をぶちまけ満遍なく行き渡る肉片をゲットした感染者等が仲良くお食事会を開く中



閉ざされたゲート、高い塀に囲まれた倉庫敷地内に3人の黒フード達



宿舎からモクモクあがる黒煙を眺めながら、建物へと移動をはじめた。



1発づつしか装填出来ぬ折りたたみ式ライフル銃の薬莢を抜き取り、詰め込む1人の黒フードが口にした。



「これで抵抗する邪魔者は一気に片付けたな」



次いで散弾銃を肩に担ぐ黒フードが口を開いた。



「まぁな でも冴子さんに頼まれてた若い男…みんな殺っちまっていいのか?後でヤベェーんじゃねえか … タマタマ取られるなんて嫌だぞ」



金髪「仕方ねぇーべ 反抗的なレジスタンスを一気に殺したし」



金髪が青竜刀を肩に担ぎながら黒煙を見上げ、倉庫へと歩く



金髪「それに大量の材料も手に入るんだから冴子さんも許してくれるだろ」



2人も倉庫へと向かっていく



「攫うのは40代までの女だけだろ…ならあとの老いぼれはどうするのよ?」



金髪「年寄りに用はねぇ… 始末する」



「おほ 皆殺しね 了解 じゃあ老人達には我々の射撃練習の的になって貰いますか」



「よっしゃ~ やっぱハンティングはゾンビよりマンハンティングの方が燃えてくるよな 一番面白いかもしれない 命乞いしてる奴の頭に撃ち込む時とかマジ最高だわ」 



「はは それ言えてる それよりそんないっぱい材料どうやって運ぶんだよ?連絡入れて大型バスでも持ってこさせるか?」



金髪「そうだな 逃げられても困るし一気に運ぶか… あ?なんだこれ…開かねぇーぞ」



金髪がレバー式のドアノブを捻るもセキュリティーロックがかかってる為 扉は開かない



金髪「いっちょまえにオートロックなんか掛けやがって」



「どけどけ」



後ろで散弾銃を身構える黒フードがドア目掛け発砲した。



ドォォォォン



そしてレバーもろとも破壊された扉を金髪が蹴り開けた。



また片割れが携帯電話を取り出す



トゥルルル トゥルルル



金髪「さぁ 皆殺しの時間だ やっちまうぜ」



開かれた扉から金髪が1歩を踏み込もうとした寸前…



シュ



何かが飛来



それが携帯電話を握る黒フードの手の甲へと突き刺された。



「ぐぅ」



スローイングナイフ…?



いや それよりも刃渡りの長い槍状の形状をした尖物が突き刺さっている。



黒フードは携帯電話を落とし



また建物と大型倉庫のわずかな隙間となる通路から後ろ髪をなびかせ



女が姿を現す



そして現れると同時に素早くハンドガンが抜かれ



それが金髪へと向けられた。



「なっ」



散弾銃を構える黒フードがその女に向け、構え直そうとしたその瞬間



通路から新たに現れた女が束ねる髪を揺らし、急接近



シュ



斜めの角度で振るう棒で手首を殴打した。



ベシッ



散弾銃が手から弾かれ、落ちた携帯と共に地面に転がった。



黒フード達がそれぞれ向けたその視線の先には…



ライフル銃を握るその手が即座に掴まれ、握力が込められた…



黒フードの目の前には御見内がいた。



また金髪の目の前には銃口を向け、ハンドガンで狙うエレナ



また落ちた散弾銃を蹴り飛ばし、喉笛に長棒を押し当てる美菜萌の姿があった。



そして低音で怒りの籠もった御見内からの挨拶が発せられる。



御見内「よぉ~ 約束通り会いにきてやったぜ 今更 誰だ? とか間抜けな質問ぬかすなよ」



力を込めた握力により、黒フードの表情が歪んだ



エレナも金髪に向かい口にする。



エレナ「見るからに悪党ヅラしてるわね… もうあんた達 人とは思わないわよ… ゾンビ以下よ…」



御見内「っだそうだ ゾンビ以下のゴミかぁ ゴミならしっかり掃除しとかねぇとな… 俺達の本気度が分かるか?」



すると にやける金髪が2人に言葉を吐いた。



金髪「気張るなよ どうせ殺れっこねぇだろ… トーシロのくせしてよ」



すると パァーン



御見内と対面する黒フードの眉間に突如穴が開かれた。



いきなり銃殺され崩れ落ちる黒フード



エレナ「おい そこのパツキン… もう一回同じ事言ってみろ」



何のためらいも無く黒フードの1人を射殺したエレナ



撃ち殺され、崩れ落ちた黒フードからそっとライフル銃を奪い取った御見内が金髪の眉間に銃口を押し付けた。



御見内「そちらのお姉さんはご立腹中なんだよ おまえ等のせいで相当ご機嫌斜めだからよ ちゃんと言葉を選んだ方がいいぞ」



金髪「クッ……」



2人から銃口を向けられ、掌握された戦況



金髪は身動きとれずに御見内と視線を交わせた。



御見内「爆殺したと思ってるようだが残念だったな あの場のみんなは生きてるぜ」 



金髪「チッ…」



御見内「さぁ どうする?命が惜しくなければもう一度ふざけた事言ってみな」



金髪「…」



御見内「よし どうやら俺達の本気度が伝わったようだ じゃあこれからいくつかの質問に答えて貰う」 



エレナ「え?ちょっと道ぃ 何言ってんの…こんな悪党ソッコー殺しちゃった方が世のためだよ」



御見内「いいから 悪エレナを引っ込めろ 元お巡りさんだって見てるんだからな」



エレナはチラリと美菜萌に視線を向け、美菜萌と目が合った。



美菜萌「あ……まぁそれは元ですから」



御見内「その前にまずその物騒な武器を捨てろ」



金髪は御見内と目を合わせたまま、おとなしく青竜刀を投げ捨てた。



御見内「よ~し いいぞ じゃあ質問に答えろ まずはお前等のアジトだ 正確な場所を教えろ 何処だ?」



金髪「……」



御見内「答えろ 場所だ」



金髪「…」



御見内「どうした?その口は飾りか?」



エレナ「あんた達なんか下っ端中の下っ端なんでしょ どうせあんた達が死んだ所で上は気にしないわよ 命と引きかえにする程の質問かしらね まぁ別に嫌なら言わなくてもいいよ そこで寝てる人が三途の川で待ってるんだから追いかけちゃう?」



御見内「早く言え 言わなきゃそこのお姉さんがおまえ等を殺し兼ねない…」



金髪「……」



エレナ「ほら もういいじゃん 違う奴捕まえて聞けばさぁ~ 私こいつ等許せないんだ か らぁさぁー」



パァーン



またしてもいきなり引き金をひいたエレナ



だが 御見内により咄嗟に銃身がズラされ回避されていた。



御見内「っぶねぇーなぁ 馬鹿 まだ待て 落ち着け」



地面に落ちた携帯電話の液晶画面が光っている…



その液晶画面には通話中 3:33秒の文字



繋ぎっぱなしな携帯電話が落ちている…



そして…



「よっ ん~ ぉいしょ」



携帯を耳に挟み、塀に手を掛けてよじ登る女がいた



その下には先程まで食事していたゾンビ共の惨殺死体



その女は塀に立ち、血がべっとりこびりつくノコギリをゾンビの骸が転がる死体の上に放り捨てた。



「あ いたいた あれかな」



そしてGPS機能を閉じ、携帯を仕舞った女が目を凝らすや



「よっ」



塀から飛び降りた。



カツカツとヒール音をたてながら歩き出す



白衣に包み、その全開に開かれる白衣の下は黒のセクシーランジェリー姿



真っ昼間からこんな下着姿で出歩く女



普通じゃない…



そう… 普通じゃないこの女は…



カツカツカツ



フォークリフトにくくりつけられた阿部が朦朧としながらおもむろに顔をあげ、目にした先



阿部「あ…」



こいつ…



阿部を横目に通り過ぎてゆく女を見た。



そう… こいつは…



3度の飯より拷問と殺人がお好きなイカレ女…



冴子だ



その冴子が現れた。

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