第13話 俺はパリピじゃねぇ
こうして休日を奪われてしまった俺は今まさに右腕すらもこの悪魔に奪われている。
「♪~♪♪」
その悪魔は俺の休日と右腕によってご機嫌なようだ。
(はぁ、どうして俺が)
心の中でだけ悪態をつくことは許してもらいたい。
「おい、あれ」
「超美人じゃね?」
「かわいい!」
「あれが彼氏?」
「ないだろ笑」
駅ビル内や道端を歩いているだけで、あちこちからそんな声が聞こえる。
(悪かったな!俺は彼氏じゃねぇ!)
決して気分の良くない世間話が聞こえるのは俺だけなのか、隣の悪魔はご機嫌で、
「私たちカップルに見えてるのかなぁ」
なんてほざいてる。・・・本当に聞こえてないのか!?
そんなこんなで、とりあえずROUND1に到着。
「ボーリング♪ボーリング♪♪」
ROUND1と言ったらボーリングだよな。・・・どうしてボーリングに連れてこられているかは、突っ込む気力もない。
小早川もボーリングは久しぶりらしく、タッチパネルの自動予約機に少々戸惑いながらもちゃんと手続きを済ませて、意外とすぐに入場できた。
(クレーンゲームやりたかったんだけど、まぁ後ででいいか。)
休日ながら比較的空いているのか、エレベーターでボーリングのフロアに上がった後も3レーン程しか埋っていなかった。
「空いてる!?ラッキー♪」
「そうだな」
荷物を置いたら早速ボール選びである。小早川は女性向けの軽めのボールを取りに行っているが、俺はちょっぴり重めのと、曲げるときのための軽めのやつを1つずつ持って戻る。
「・・・じー」
「どうした?」
そんな俺の姿を見て何かを探るような彼女に少し引いてしまう。ここ最近、何かを怪しまれているような気がしてならない。
「やっぱり、ボーリング慣れてるでしょ?」
「・・・いや、何回か来たことはあるけど、慣れてるって程じゃないよ。下手だし。」
「ふーん。─じゃあ後でお昼を掛けて勝負しようね!」
「・・・んー、わかった。いいぞ。」
「言ったからね!」
投げ放題プランで、こいつは何ゲームリベンジするつもりなのだろうか・・・。
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