この作品に『美しい建築だ』と抱けたのは私の中でも誇らしい出会いだったと記憶している。
物語は二人の刑事が犯人を追い詰めるという、骨格だけで見れば至ってシンプルな短編です。
しかし登場人物、地名を一要素でぶち抜き一貫させる潔さと物語設計、機能美とも表現できる建築作品となっています。
作者様の職人技と匠ながらの遊び心は、私に頭を抱えさせながらも『これが私の言語との向き合い方だ』と爽快に叩きつけてきました。
一つの道具を存分に余すことなく使いこなす作者様の柔軟な知性と、その強度に応えられる日本語の素晴らしき多様性が織りなすコントラストに感服感嘆、感銘を抱かずにはいられない。
この作品からいただいた魅力を自分の言葉に落とし込むのに数ヶ月。やっと言葉に出来たかと思い、レビューさせていただきました。
二回読むのがオススメです。最初は視覚的インパクトで楽しみ、そして美しい建築技術と素材である日本語の豊かさに浸りましょう。
荻と萩に幸あれ。