第12話 知られざる過去②


「お姉ちゃんもね、小学生の頃ちょっといじめにあってたの」

「え...」

「仲間外れにされて、無視されて、心無い事言われて。

でも、でもね、それから色んな人に支えられて時間を掛けて立ち直ったんだ」

「.....」

「だからね、あかねの気持ちもわかるよ」

「...」

「自分をねがいるって凄く幸せなんだよ」

「...ッ」

「あかね...」

「...怖いの」

「ん?」

「また裏切られるのが怖いの」

「あかね、でも...」

「またあの時みたいに惨めな気持ちになりたくない」

「...」

「心臓が締め付けられる様なあんな思いはもう二度としたくないのっ!」

「...」

あかねのその感情がこもり過ぎた言葉に姉桃子は悲しそうな表情を浮かべていた

しばらくその場に沈黙が続いた後姉が

「ちょっと先生と話してくるね」

と言って病室を出て行った。

あかねはそのことを確認すると布団を頭から被って思いっきり泣いた。

桃子が病室のドアからその泣き声を聞いているとも知らずに...



しばらく時間が過ぎた後に先生を連れて病室に桃子が戻ってきた。

「あかね、先生来たよ起きて」

「...ん」

あかねは赤い目を隠すように顔を下に向けながら体を起こした

色々な検査をした後異常も特に見つからなかったらしくその日の夕方には退院できた


「良かったね、今日の内に退院できて」

桃子が明るく笑顔で言った

「...うん」

「今日の晩御飯なんだろうね~」

とその場の空気を和ませるように桃子は陽気に振る舞う

その姉の態度に気を遣ったのかあかねが呟いた

「今日はごめん...色々と」

「...いいのよあかね気にしなくて。誰だってそういう時はあるしさ」

桃子がそう言いながら見せた笑顔はあかねの目にはとても優しく愛に溢れた様に映った

「...ちょっと頑張ってみるよ」

「そっか...よーしそれじゃあ今日はあかねの好きなアニメ夜通しでみちゃうか!」

「ちょっとお姉ちゃん声デカい!恥ずかしいからやめて!」

そんな幸せそうな二人の姉妹を見守る様に夕日はその辺り一帯をオレンジ色に照らしていた


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