体力に魔力、自然回復の法則とは

「キュイィ~キュイィ~」


 切ない声と、頬を舐められる感触で僕は目が覚めた。

 どうやら僕は、気を失っていたらしい。


 起き上がると、地面には人型の窪み。魚拓よろしく僕がめり込んだ跡らしい。マンガみたいだ。


 心配するしろを撫でて、首をこきこき鳴らしてみる。

 太陽の位置から、それなりに時間が経過してそうなのは、落下のショックで気絶したか。

 激痛というほどではないが、ところどころ節々が痛い。

 若干、身体が重い気がするかも。さすがに無傷とはいかなかったか。


 崖を見上げても、上が見えない。

 

 さっきの僕、よくあそこから飛んだな。

 きっと、アドレナリンやドーパミンが脳内でどばどば出ていたに違いない。

 もう一度飛べと言われると……またやるかもしれないけど。



 ―――――――――――――――

 レベル13


 体力 88451

 魔力 0


 筋力 65  敏捷 59

 知性 72  器用 52

 ―――――――――――――――



 うえっ、体力の半分近く持ってかれてる。気絶してた間の自然回復を考えると、それ以上か。

 しかも知性が1下がってる。頭悪い真似すんなということですか、そうですか。


 でも、こんな崖から自由落下したのに、体力半分で済むんだという考え方もある。まだ高くてもいけそうだ。

 いや、そうそう崖から落ちることなんてないだろうけど。


 まだ体力には余裕があるけれど、せめて10万くらいに回復するまで待ってみることにした。

 これからは未知の領域。なにが起こるかわからないので、用心に越したことはない。

 もっとも今までも未知の領域だったから、なにが変わるかといわれても困るけど。


「……?」


 体感で1時間近くも待ってみたが、どうにも体力の回復が悪い。


 待っている間、膝の上でしろを遊ばせていたのだけど、遊び疲れてすっかりおねむとなっている。


 今までの回復率はおよそ5分に1%くらいの割合だったので、とっくに10万を超えてないといけない計算だけど、今でようやく10万に届くかどうかといったところ。明らかに遅い。


「あ! これってもしかして」


 自然回復量は、体力の最大値じゃなくって、現在値に依存する?


 だとすると、体力が減れば減るほど、自然回復はしづらくなるわけだ。

 そして、0になると回復できないで死亡。0になにを掛けても0は0だから。


 ん? ということは?


 もしかして、僕の魔力が回復しないのもこのせい?

 たったの1なのに、回復する兆しもないのはどうしてか、不思議だったんだけど。


 正直、僕のこの現状。やっぱりあのときの魔力1が0に減ったことが関連しているとしか思えない。

 中二病うんぬんは別として、僕にはステータスを視る以外のなんらかの力があり、それが発動してこうなったんじゃないかと。

 だったら、また魔力が1に戻ると、逆の効果で元の場所に戻れるんじゃないかって、淡い期待を抱いていたんだけど……


 次にレベルが上がって、魔力が上がるとどうなるんだろう。

 仮に、体力が1000、魔力が1上がったとして。


 体力 164000/164000

 魔力 2/2


 レベルアップすると体力・魔力全快でこうなるのか。


 体力 163000/164000

 魔力 0/2

 

 はたまた、最大値だけ上がるこっちのタイプか。


 後者だったら辛い!

 0で自動回復できないと、永遠に魔力0のままだよ!


 こればかりは実際にレベルアップしないと確認しようがないけどね。

 ただ、前回レベルアップしたのは1年ぶりくらいだったことを考えると、今度のレベルアップはいつになることやら。

 魔力に関しては、自動回復以外の方法を見つけるほうが現実的かも。


 まあ今は、なによりここから脱出することが先決だけどね。


「起きて、しろ。そろそろ行くよ」


「キュイ?」


 いろいろ考えている内に、目標の体力10万までは回復した。


 僕は寝ぼけ眼のしろを頭に載せて立ち上がる。


 崖の上からの景色――人工物らしきものは視界に見えなかったけど、崖下から少し離れたところに、大きめの河が見えた。まずはそこを目指してみようと思う。

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