第20話 私は死ぬべきなのかな

4月も終わる頃、テストについては夏帆は最高得点を取ってそのまま菊池先輩の家に泊まる事になった。

夏帆が.....菊池先輩の家に、か。

菊池先輩は色々と教えてやると言っていたが.....。


駄目だ、かなり不安だ。

菊池先輩と上手くやれるのかと言うよりも.....疑っちゃ悪いけど.....夏帆が何かをやりそうで。

その様に思いながら、俺は寝っ転がった状態でスマホを見つめる。

今日は土曜日だ。


「.....」


たっちゃんとのやり取り。

メッセージを送ったり読んだりしている。

取り敢えず.....色々と相談事が有って、だ。


そうしていると、たっちゃんからメッセージが来る。

たっちゃんは大丈夫だよ、と言っているが。


(大丈夫。義妹ちゃんは.....確かに何か.....感情不安が有るけど.....あの時、私を守る姿を見せてくれたから。私を助けてくれたから.....きっと大丈夫だよ)


(そうであって欲しいけどな.....)


今でもそうだ。

恐怖に負けて義妹の部屋を捜索しようと.....しているとメッセージを送る。

すると、たっちゃんが怒った様にメッセージを寄越した。


(それは絶対にやっちゃ駄目。女の子の部屋を無断で.....捜索とか.....確実に嫌われるから止めて)


「.....やっぱそうかな.....」


(.....私も嫌いになる)


俺は静かにそのメッセージを見つめる。

まぁ、でもそうなるよな。

俺は溜息を吐いて、送った。


(でもそれだったら俺はどうしたら良いと思う?これから先、義妹にどう接したら良い?.....マジに自信が無いんだ)


(根本から.....一から.....義妹ちゃんに接したら良いと思う。例えば、義妹ちゃんに何か困った事が有るなら.....陰ながらに手伝ってあげるとか)


(.....そういうのか?)


(.....表立つのは駄目だと思う。なんでかって、それは.....義妹ちゃんは傷付いている乙女だから。陰ながら.....支えてあげるのが大切だと思う。義妹ちゃんが.....その.....色々と一人でやれる様に。.....でもやり過ぎは駄目だと思うけどね)


俺はその言葉を受け、起き上がりながら苦笑した。

そして.....顎に手を添えて、これからを考える。

その途中でハッとして思い出した。


5月3日。

この日は重要な日だと。

何故なら、夏帆の誕生日の日だ。


何故曖昧なのか。

それは簡単に言えば.....夏帆自体が嫌っているので誕生日会をしないのだ。

忘れてしまっていた。


夏帆は何時も誕生日は部屋に籠ってしまう。

だが今年は.....夏帆を祝いたい。

夏帆が仮にも心を開いてくれたから、だ。

それも合わせて、だ。


(来月の初っぱなに夏帆の誕生部が有る。.....色々有って誕生日を祝われる事を嫌うんだけど.....祝ってやったら良いかな?)


(え!?そうなの?.....でも祝ってあげたら喜ぶんじゃ無い?)


(.....だけど.....)


心底から夏帆が誕生日に関する事を喜ぶか、だ。

誕生日は母親からの傷を負ってしまって、喜ばないから。


大丈夫だろうか.....でも。

夏帆は少し変わった部分が有るから.....多分。

大丈夫だとは思うが。


「.....」


(みんなで祝うか?)


(それは.....どうだろう?義妹ちゃん喜ぶかな.....)


(俺一人の方が良いかな?)


そうだね.....うーん、と悩む、たっちゃん。

俺はたっちゃんの返事を待つ。


その時だった。

夏帆からラ●ンが来た。

俺は見開いて、夏帆のラ●ンを見る。


(お兄ちゃん)


(.....な、なんだ)


(.....菊池って.....何?マザコンか何か?ウザいんだけど)


(そう言うな。.....それからマザコンじゃ無くて.....本気でお前を心配しているんだと思うぞ)


あの人はそういう人だから。

その様にメッセージを送ると、時間が空いた。

それから、信じられないメッセージが届き。

俺は見開く。


(.....あのね、お兄ちゃん。私、生きていくのに間違っているのかな?.....何もかも。人生を)


「.....夏帆.....!?」


突然の事に驚きながら、驚愕しつつ。

起き上がる。

そしてメッセージを見る。


(私が.....望んで無いのに優しい奴等ばっか。.....何だろう。私が.....間違っているの?.....私は死ぬべきなのかな)


「.....!」


青ざめた。

答えに行き詰まってしまった。

どう答えれば良いのか全く分からない.....。

これまでの夏帆を.....否定したらどうなるか分からない。


(.....ちょ、ちょっと待て、落ち着け。間違って無いと思う。多分.....お前はマトモだ。それ以外はこれから学んでいけば良いと思うんだ.....な?)


そう答える以外に.....答えが見つからなかった。

それを打つと、夏帆から返信が少し途絶え。

俺は直ぐに準備して駆け出した。


これはマズイ気がする。

アイツ.....何を.....考えている!?

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