第二章 白魔女の逆鱗に触れる

ちょっと一服 【第一部のまとめ】

『スペルドキャッスルの雪宴』の第二部を始めるにあたって、読んで下さる方への解説と、自分自身の備忘録も兼ねて第一部のまとめを作ってみました。



◆ChapterⅠ

 『スペルドキャッスルの雪宴』第一部は、こんな話だ!


*~~~~~~~~~~~~~~~~*

 その奇想天外な出来事が起こったのは、雪が降り積もる寒い夜のことだった。

 高校2年生の相良百合香(あらい ゆりか)は、先生に出された英語教本の課題に頭を悩ませていた。


「いくら第一志望の進学校に合格したからって、勉強漬けの日々を私は望んでいたわけじゃない。このままじゃ、きゅんきゅんする恋愛なんて、絶対無理!」


 課題は、英国(イギリス)の作家、オスカー・ワイルド[1]の古い児童文学『小夜啼鳥(ナイチンゲール)と紅い薔薇(ばら)』[2]の和訳。

 百合香は助けを求めて、弟の京志郎がバイトする図書館へ足を運ぶ。だがこの時、百合香は、この本が”ジオラマ[3]の国”への”扉を開く切っ掛けになるなんて、知る由もなかった。


 相良家の造りはとても変わっていた。台所の扉を開けば、そこが図書館の1階と繋がっているのだ。そこでバイトしている京志郎は不登校なわりには、とても賢くて、趣味で作ったジオラマが高値で売れるほどの優秀なモデラ―だった。


「姉ちゃん、そんな課題は放っといて、僕が造ったジオラマの国を見てよ!北の城門では”屈強な近衛兵”が城を護ってるし、南の森にいるのは、剣も魔法の腕も立つ最高最強の魔法使い、”灰色猫(グレイ・マウザー)[4]”だ」


 京志郎が、図書館の地下の面積のほどんどを使って造っているのは、中世英国を思わせる城下町のジオラマだった。

 だが、入浴時に突然起こった地震で、自宅の風呂場と壁一枚で繋がっていた図書館の地下へ百合香はバスタブごと突進する。そして、京志郎が造ったジオラマの国に入り込んでしまうのだった。


* *


 雪景色のジオラマの国で、百合香が出会ったのは、シーディという小柄な魔法使いの青年だった。だが、この男、使う魔法は貧弱で、魔法が発動するのも時間がかかる。それなのに、敵の雪だるまの攻撃をさらりと交わし、鋭く切り込む剣の腕は超一級品だった。実はシーディは灰色猫の名前を継ぐはずの青年だった。


 一方、京志郎は地震のために半壊してしまった自宅で途方に暮れていた。

 仕方なしに、自宅と繋がっている図書館に行った彼は、ジオラマの国に謎のお姫様のフィギュアを見つけて戸惑う。


「いったい、何が起こってるんだ?」


 その頃、ジオラマの国では、百合香とシーディが、すっかり打ち解けて小宴会を開いていた。

 百合香の英語教本の『小夜啼鳥(ナイチンゲール)と紅い薔薇(ばら)』。その本が大きな力を帯びた魔法書だと気づいた小柄な魔法使い(シーディ)は、ワインの酔いにまかせて、呪文を唱える。


「”Castle《キャッスル》”! 建て! このお姫様(ユリカ)に相応しい美しの城!」


 その呪文(スペル)が、ジオラマの国に一大事件を引き起こし、灰色猫(グレイ・マウザー) vs 白魔女 vs 相良京志郎 vs 謎の館長の四つ巴の戦いを誘発するなんてことは、まだ誰も予想だにしていなかった。


第二部 『白魔女の逆鱗に触れる』に続く~



*~~~~~~~~~~~~~~~~*

◆ChapterⅡ 登場人物


第一部の前にも登場人物紹介がありますが、もうすこし詳しく。



● 相良(あらい) 百合香(ゆりか) 17歳 高校2年生

 栗色の瞳、セミロングの髪。ジャージ(現代)

 

● 相良(あらい) 京志郎(きょうしろう) 16歳 高校1年生 不登校中 

 さらさらの茶色がかったボブヘア―。図書館員の制服のソムリエっぽい黒のロングエプロン。バスケットシューズ

 色白で艶やかな肌。少し憂いを含んだ黒い瞳


● シーディ (17歳くらい) 京志郎が作ったジオラマの国の魔法使い 

 大魔法使い”グレイ・マウザー”の孫


 黒髪、黒い瞳、小柄

 

 灰汁色(あくいろ)のマントを肩に斜にかけ、腰には剣。黒装束。ブーツと手袋はマントと同じ色。魔法の力は今のところは、出来たり出来なかったり。剣の腕は一流。

 本(特に魔術書)を読むのが好きで、色々な知識に精通している。

 


●灰色猫(グレイ・マウザー) ジオラマ国の大魔法使い

 

●リンナイ 魔法の力を持ったバスタブ

 外国の映画に出てくるような白いホーロー製の床に置くタイプの浴槽。四隅に金色の猫足がついている(ただし国産)

 横に製造メーカーの【RINNAI】のロゴが入っている。百合香が適当につけた名前はここから。

 たまに走ったりもする。



●ベルベット グレイ・マウザーの遺産の魔法のマント

 百合香のファーコートになったり、ドレスになったり。

 戦闘時は盾に変化もする。

 百合香に名無しを指摘されて、シーディが渋々、この名をつけた。

 ベルベットの名の由来は、このマントの素材だから。


●流星刀(ミーティアソード) グレイ・マウザーの遺産の剣

 流星の欠片から造られた切っ先の鋭い剣

 シーディが帯刀している。


●ミラージュ ジオラマの国の近衛兵隊長  

 白魔女の配下の近衛兵長

 形態は、巨大な雪だるまだが、第二部で真の姿を現す。眼光鋭く、百合香に言わせれば、声は低音の魅力に満ち、体全体から素敵なオーラを発している。

 


●魔法大皇帝(マジックエンペラー) 皇宮の建設者で、ジオラマの国の支配者と言われている。


●白魔女 

 北の皇宮に居座り、ジオラマ国での反乱を目論んでいる。

 全身白のドレス。普段は色のない瞳が、怒ると赤く光る。

 得意技は呪い。近衛隊長ミラージュを溺愛している。


●京志郎のバイト先の図書館の館長

 図書館の2階の館長室にいるはずだが、いつも不在。

 すべてがまだ謎。



*~~~~~~~~~~~~~~~~*

◆ChapterⅢ 脚注 Wikipediaより


[1]オスカー・ワイルドとは

 アイルランド出身の詩人、作家、劇作家。

 本名:オスカー・フィンガル・オフラハティ・ウィルス・ワイルド(Oscar Fingal O'Flahertie Wills Wilde、1854年10月16日 - 1900年11月30日)

 代表作は児童文学の『幸福な王子』の他、戯曲の『サロメ』など、耽美的・退廃的・懐疑的だった19世紀末文学の旗手のように語られる。多彩な文筆活動をしたが、男色を咎められて収監され、出獄後、失意から回復しないままに没した。



[2]『小夜啼鳥(ナイチンゲール)と紅い薔薇(ばら)』とは、

 オスカー・ワイルドにより1888年に書かれた児童文学

 『幸福な王子その他』(The Happy Prince and Other Tales)(1888年)第一童話集、IIIに収録。


[3]ジオラマとは

 19世紀初頭、フランス人風景画家で後に写真発明家となったルイ・ジャック・マンデ・ダゲールが、画家ジャック=ルイ・ダヴィッドの弟子シャルル・マリ・プートンと共に、従来のパノラマに代わる新たな投影装置を開発し「Diorama」と名づけたのが最初である。

 箱の中に風景画と展示物を置き、その箱の一つの面に設けられた窓から中を覗くと、照明などの効果により本当に風景が広がっているかのように錯覚させる見せ物として人気を博し、明治時代に日本でも流行した。



[4]灰色猫(グレイ・マウザー)とは

 アメリカの作家フリッツ・ライバーが1939年に書いた小説『ファファード&グレイ・マウザー (Fafhrd and the Gray Mouser)』は、ヒロイック・ファンタジー小説のはしりではないかと言われているが、灰色猫(グレイ・マウザー)はその中のキャラクターの一人。

『スペルドキャッスルの雪宴』の中のグレイ・マウザーの元ネタはここから。RIKOはこの作品が好きなので、多少の設定を使わせてもらいました。


 ライバーの著作の中の、マウザー(グレイ・マウザー、灰色猫の意味)は小柄で機知に富んだ盗賊。魔法使いの弟子であったこともあり、魔法というものをこよなく愛するが、魔法使いとしての腕はあまり良くない。

 『スペルドキャッスルの雪宴』に出てくる灰色猫より、ライバーの灰色猫の方が好色で抜け目なかったりする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る