ライバルとのキス

「貴女が好きです」


「………えっ?」


「好きなんですよ、貴女が」


そんな睨み付けながら言わなくても…。


目の前にいるのは同じクラスで、同じクラス委員で、男女の関係を飛び越えたライバル…だと思っていた男。


…なのにいきなり飛び戻って来た。男女の関係に。


「あっあのね? いきなりどうしたの?」


「本当にどうしたんでしょうね。俺としたことが、何でよりにもよって、貴女に恋なんてしたんでしょう」


…それはコッチが聞きたい。


と言うか、コレは告白なの?


全然甘くも無いし、トキメキも無いんだけど。


整った顔立ちで睨まれると、逆に怖い…。


「でもまあ良く考えれば、貴女ほど可愛い女性はいませんし、優秀な人もいません。俺に匹敵するぐらい成績優秀なのは認めていますし。ああ、人望もありますね」


…それって後半、自我自尊?


「なので俺は貴女が好きなんです」


「…とても正気とは思えない告白ね」


「ええ、恋は病ですから」


あっさり言い返された…。


でもまあ確かに。


自分を褒めるワケじゃないけど、コイツほど優秀な人物は知らないし、私はそんなコイツとライバル関係にあった。


お互いの優秀ぶりはイヤってほど知り尽くしているワケだけど…。


それで何で愛の告白?


やっぱりどこか、納得いかない。

「ねえ、告白したってことは、私と付き合いたいワケ? それで将来は結婚?」


「ええ、俺はそれを願っています」


…マジ?


しかしコイツの顔は真剣そのもの。


と言うことは………私も真面目に答えなくてはいけない。


今の私の状況、フリー。


コイツと付き合うこと、…別に悪い気はしない。


だけど…。


「付き合うのは良いんだけど…。まだアンタに恋愛感情持っていないわよ」


「別に構いませんよ。貴女を好きにさせる自信、ありますから」


ハッキリ言って、自信ありげな笑顔を浮かべる。


「大体貴女につり合う男なんて、俺ぐらいなものですよ。貴女だって、他の男なんて物足りなく感じていますでしょう?」


「…まあ、そうだけど」


過去に何人か告白された。


でも…コイツと比べてしまい、断り続けてきた。


…アレ? それってつまり…恋愛に関して、いつもコイツが私の中にいたってコト?


……それはつまり、とうに私はコイツのことを…。


「どうしました?」


ジッと見ていたせいで、逆に見つめ返された。


「…気付きたくないことに気付いただけ」


告白してきたコイツの顔を、今は私がしているだろう。


シャクだ…。とってもシャク。コイツの気持ちが本当に分かる。


だから…私はキスをした。


私から、キス。


「んぅっ」


唇を合わせるだけの、軽いキス。


アイツの体に抱きついた。


「幸せにしてあげる」


「えっ?」


「私の全身全霊全力をもって、アンタを幸せにしてあげるって言ってんの。喜びなさいよ。一生をかけるんだから」


「それって俺のセリフ…」


「良いじゃない」


私は顔を上げ、真っ赤になったアイツに極上の笑みを浮かべて見せる。


「私達、両思いなんだから!」


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