Chapter - 1.1 Window
「もうあんなに、小さいわ・・・・・・」
私の肩で、残念そうに
「・・・・・・ああっ」
窓に張りついていた私は、声を
私の大事な天使のか細い肩を抱き寄せて、眺め続けるだけだった。
四角い宇宙船の丸窓越しに、
かつてBLUE EARTHと呼ばれた
永遠の別れを感じさせるその青白さは、
黙って眺めていると、寂しさよりも悲しさよりも、
人類は、惑星『地球』を征服し、我がもののように支配してきた。
命のハーモニーが
「おおー、なんと罪深く愚かなことか?」
そして、人間の
『宇宙、それは最後のフロンティア』
20世紀の遠い昔、当時人気を
★ ★ ★
◆◇◆【宇宙日誌】西暦2201.4.15 ログイン⇒
西暦23世紀初頭。地上は神から見放され、悪魔の支配が色濃くなっていた。
地球は見えざる洪水に飲み込まれた。
そんな悪魔の洪水から
私の名はノア・エイロン(Noah Aron)。出航間際にSSアーク号の新船長に任命された。
本船の航海記録『宇宙日誌』は、今日から私の責務となる。Video Logが通例だが、私はVoice Logで行うことにした。その方が人目も気にせず記録できる。
例えば、「下着姿でも構わないし、情事の女性が寄り添っていても心配ない・・・・・・」という冗談はさて置き、実は趣味である古典音楽鑑賞が楽しめるからだ。好きな曲をBGMに録音することで、面倒な日誌にも楽しみが加わるというものだ。
因みに、再生装置は不要で、肉声などをダイレクトに録音・再生する。マイクやスピーカーなどと言う
私は、『TALKING RING』(しゃべるリング)と呼んでいる。
更に、電源などと言う外部からのエネルギー供給は不要。基材内部の格子振動量子(Phonon)を、電子流(Electron)に変換することで内部的に電源を得ている。
この技術を応用すれば、フォノン
これら量子工学の技術は、生命工学専攻の私にとっては専門外の分野だったが。趣味が
ところで、私の趣味である20世紀のプログレッシヴ音楽は、今聴いても音のクオリティは高く、古典どころかまるで未来の音楽のようだ。そのスペーシィな曲調は、宇宙の音楽と呼んでもいい。
記念碑的BGM第一号には、今流れている私のベストワン、 ♯ Shine on You Star Diamonds ♪をセレクトした。
さて、COSMO ISLANDを出航してから2日目、間もなく月軌道に到達する。
地球を挟んで反対側に位置するため、
あの
『母なる地球』・・・・・・今となっては何もかもが、みな
新型宇宙船の処女航海は、幸運にも大きなトラブルも無く順調だ。
===以上、ログアウト ◇◆◇
私は、宇宙日誌の初記録を済ませると、
「チーフパイロット、直ちに、減速、反転」
キャプテンシートに腰を
「ラジャー! SSアーク号、姿勢制御開始します」
ベテランパイロットのマイケル・シダーヒルは、素早い応答で制御操作に入った。
宇宙船はゆっくりと反転し、船首の向きを180度変えた。
いよいよ月軌道を
「月軌道離脱1分前」
コスモナビゲーターのケイト・フォレストがカウントダウンに入った。
「了解! 直ちにコスモ・ドライブに入ります」
マイケルは素早くエンジン切り替え操作を開始した。
彼は、世界連邦航空宇宙局(WASA)のパイロットの中でも、
「いよいよ。出発だな!」
「ハイ! キャプテン」
黒い前髪から
その時、私の心の中には緊張感と期待感が同居し始めていた。
私にとって、火星までの飛行は初めてで、正直不安もある。でも、ベテランパイロットのマイケルをはじめ、優秀なクルー達にも恵まれており安心だ。また、提督である父やフライト・エンジニアのスミノフ博士を筆頭に、各分野の専門家の存在はとても心強い。
そして、何よりの心の支えは、私の大事な天使が一緒にいることだ。彼女は、私の右腕となって宇宙航行をナビゲートしてくれる存在で・・・・・・。というのは
さて、月軌道を越えると、
【Attention! Attention! 人工重力生成。アストロブーツはオフになります。Attention! Attention! 】
早速、マザーコンピュータからアナウンスが流れた。
不自由な無重力の
月軌道までは加速度飛行は許可されないため、船内は無重力に支配される。電磁式のアストロブーツという
だが、これからは地上と同等の重力場が生成される。私たち地球生物にとって、慣れ親しんだ1Gは、快適に過ごせるので何よりもありがたい。
今夜は、久々に本物の温水シャワーでも、ゆっくり浴びてリフレッシュするとしよう。
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