第157話魔法石

左手に埋め込まれていた魔法石は光輝く。

それと同時に圧縮された光属性の魔法が放出された。

仁は右手の紅色の炎を出すか?魔法陣で防ぐか?迷いが生じる。

その一瞬の瞬間にデュークの光属性の魔法が仁の顔の前まで来ていた。

ここまで来たら仁に避ける術は無い。

光属性の魔法は仁に直撃する。


「君の炎は凄いけど……経験が足りない」

「黙れ」


地面に倒れる仁は告げる。

その一言にデュークは萎縮する。

大した言葉でも無いのにデュークは萎縮した。


「……君は何者だ」

「……俺は俺だ」


仁は右手の紅色の炎をいつもの様に纏わせる。

しかし、いつもの紅色の炎では無い。

紅色の炎に黒色の不純物が入り交じる。

仁はデュークの魔法石の一撃を受け、あの時の戦いに受けた屈辱が蘇る。

木山廉とあの戦い。弱肉強食を掲げる仁にとって敗北とは死と同じ意味だ。

そんな仁は敗北する可能性が出てきたこの戦いに負けられないと思えば思う程紅色の炎に黒色の不純物が増えてくる。

黒色は魔法の進化である黒魔術オーバーロード、能力から異能力の覚醒と異能の覚醒の象徴だ。

仁は紅蓮の炎クリムゾン・フレイムの能力と魔法を扱える事から魔法の進化か、能力から異能の覚醒とされる。


「……本気で行かせて貰うよ」


仁の様子を見て、デュークは気を引き締める。

デュークは右手にデュラハン・ブレイブを持ち、左手に埋め込まれていた魔法石を仁に向ける。

魔法石とは、賢者の石よりも劣るが簡単に手に入り、使い易く錬金術師が好んで使う石で、魔力が少ない者等が扱う。それ以外にも少しの魔力を増強させる事も出来る。デュークも少しの魔力を増強させる為に鎧の両手に取り付けている。

デュークには勝算がある。

それはまだデュークが本気を出していないからこそ余裕がある。

そもそも、デュークが着ている鎧は彼の白魔術オーバーライド:錬金術によって賢者の石と赤に鎧を錬金術によって錬金した代物で仁の炎ではこの鎧を壊す事が出来ない事は一度受けたデュークも仁も理解していた。

しかし、仁は止まらない。

鎧が壊せるかは大した問題ではない。勝てればそれで良い。

もう敗北はしない。これだけは何があっても譲れない。仁は右手を強く握る。

仁の頭には魔法を使う事など考えて無かった。

ただ、右手に纏う炎のみで倒す事しか考えて無かった。

仁は走り出す。

そんな仁に対してデュークは動かない。仁は右手に

纏う紅色の炎を打とうとはせずにただ走る。

デュークはようやく動き出す。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る