第121話父と子

「あら、まだ続けてるのね」


ドレアは二人を嘲笑う様にその場を後にする。

当麻家の魔武器は全て奪われた事を意味している。

総一朗はそんなドレアを見ながらも昔の父との日々が頭を過っていた。

3年前の事だ。


「この程度で倒れるか」


己の息子を無惨にも倒し、道場の床に倒れさせても止まる事は無い。

床に手をつきながら立ち上がろうとする総一朗に父は黒竹光を振るう。

防御が間に合う事は無く、再び床に倒れこむ。

今の総一朗は父を睨み付ける事しか出来ない。


「今のお前が東京本部に行っても恥をかくだけだ」

「……俺は……あんたを越える」

「……ふっ」


父親は鼻で笑うと持っていた黒竹光を総一朗に見せつける。


「良いだろう。出来たらこの黒竹光をくれてやる」

「……約束は守れよ」

「お前では無理だ」


総一朗は床から起き上がると黒魔剣を魔法陣から取り出す。


「言ってろ、後で吠え面かくなよ」


父親は黒竹光を魔法陣に入れ終わるとその場を後にする。


ーーーーーーーーーーーー


総一朗は黒魔剣を強く握り締める。

父親を越えるには父親が知らない東京本部での二年間の成果をぶつけるしか無い。


「お前では勝てない」

「……親父?」


幻術にかけられていた父親が口を開けた。

幻術が弱まって来たのか?それとも父親の精神力が幻術を上回ったのか?総一朗にとってはどちらでもいいことだ。


「……東京本部で……強く……なった……か?」


幻術にかけられた父親の口調はどこか拙(つたな)かった。


「見せてやるよ」


幻術にかけられようがこの親子の会話は拙つたない。

口数の少ない親子として、北海道支部では有名な親子だった。

口で言葉を交わすよりも剣を交わし合い己をさらけ出しす親子は二年の月日が過ぎても、父親が幻術にかかろうが関係無い。

ただ、言葉で無く、剣を交わすだけだ。

総一朗がどれだけ魔法を使っても黒竹光によって吸収されてしまう。

当麻総一朗は近年では最強の魔剣士と呼ばれるが、その名はこの父親を目の前にすると霞んでしまう。

当麻家の当主として実戦から離れた父親はその座から遠退いたが、その実力は総一朗以上だ。

そんな強い父親だからこそ許せない。

こんな情けない姿を晒す事に……


「覚えてるか?」

「……?」

「黒竹光は貰うぞ」


総一朗の言葉を足りない。少なすぎるが、父親はクスッと微笑む。

言葉数が少ない二人は理解できる。


「……やってみろ」


黒魔剣を父親に向けた総一朗は雷属性の魔法を帯びさせる。

黒魔剣は激しい雷その物になる。


「……」


その雷に父親は圧倒させてしまう。


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