幕間 ヤマメとライトビ

 某最年少国家錬金術師と同じような感覚で、町の端まで伸びた大樹の枝枝を引き延ばし壁を作り出していた。体を回る輪廻でエネルギーを作らねばならないほどの軟弱な体ではないので足の一踏みだけで壁を作り出して、ところどころ出来てしまったムラを直していた。だったとしても町は無駄に広い。端に作った防風壁だけでは風が防げるわけはないのだ。

 ガロウ君の家族に頼んで防風林を植えてもらおかな。酸素と二酸化炭素、温度も調整しないとだけど。

 エレメトの元素魔法はあくまで、等価交換であるから、成長抑制は不可能だ。

 マルーリにそのことを提案しに行こうとすると、イナズマをほうふつとさせる破壊音と共に、着物姿の人が現れた。天気を操る一族。ライトビの人間だと一目でわかる。

「ユウカイ。久しいね。いやあー御免。葉っぱ全部落としてしまった。」

 背を向けずに、顔をライトビのユウカイに向けたまま移動する。

「すごく立派だったものねえ、ああなるのって何年ぐらいかかるんだい?」

 町のある方向に浮いて進む。だが、また破壊音がして、ヤマメが振り向くとそこにいた。

「50年だ。カゴウの力を貸してもらってもな」

「そうかい。じゃあ、また50年待つんだな。僕らからしたら一瞬だろ。」

 ユウカイは音だけをとどろかせる。ヤマメは動じない。それどころか顔を引きつらせ始めている。眉を上げて、ちょっと下向きにユウカイを見る。

「ねえ、この土地が誰のものだと思っているの?こんなでっかい木植えちゃってさ。王様たちはいいよ。最初僕らにここに住んでいいかって聞いてくれたもの。町も作っていいよって。だけどねえ、断りもなしにボクの末弟にこんなでかい木は生やすのは少しだって認めたことはないぞ」

「この木はこの星の気候を保つために必要なのだ」

「お前はこの星の神気どりか!!」

 覇気と共に、ヤマメを中心にして重力が発生する。

「お前達ライトビは、気候の安定だと言い張るが、気候の操作は、この星の進化への冒涜だ!!エバーワールダーの生命力を否定している!!はっきりいってだな、シルヴィア姫がいい例だぞ。ひとつ、長い日照りや長雨があってみろ。すぐに音を上げて死んでしまうぞ。そうなってみろ。過保護なお前たちのせいになるんだからな。早いところ新しいビジネスを見つけたらどうだ。」



 この後、ヤマメの助言通り、新しくビジネスを始めたライトビ一族は、電波会社として、大成するのであった…

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