王族、エレメト、ライトビ

 次の日。屋敷に身長が高い不気味な人たちが立っていた。


 一人は牙があって、黒いマントに黒燕尾服。夜でもないのに。

 もう一人は長い耳が両方に三つづつと、目が四つあった。

 一度見たら忘れられない、ドゥブラ公爵とカルーナだった。

 その二人を見上げて頭4つ分ぐらいあれば並べるくらいの王がいた。


 二階の玄関ホールに面した手すりからも三人が神妙な顔つきになっていることは分かった。だがドゥブラは退屈なのか手遊びをしている。

「そもそも何故ロイスを英世から引っ張りだすことになったのだ」

「ロイが異星人を殺害した。そこで地方で力を集めている連中がロイに反旗を翻した。セキウはロイ側らしいけど、セキウの部下数人が反対意見を出しているらしい。もう英世で異星人嫌いはいないに等しいよ」

 王はカルーナだけを向いて話した。

「確かに、今ココも一人囲ってるみたいだし。ツキヨも受け入れる準備整えてるみたいだし、反異星人の影響力が強い奴一人二人消した方がいいか」

「別に閉じ込めてるわけじゃ…フヨウやヤマメとあちこち行ってるみたいだし。いや、それより、カルーナは賛成ってことだな」

 カルーナはニヤリと口の端をあげて嗤った。

「兄貴は?」

 立ったまま寝ようとすらしたドゥブラの足を踏みながら言う。

「ん、うん。いいんじゃないのか」

「ところで、朕にはココのペットを紹介してはくれないのか」

 いつの間にかカルーナは4つの目のうち3つをこちらに向けている。前はよく見えなかったが、カルーナは王と同じ黒い目だ。ドゥブラはどちらかと言えば光るように赤い。

「上の方に居るのか。」

 王は、ため息をついた。

「コロ・マル-リ。誤解しているようだが彼は私のペットじゃない、友人で助言者だ。」

「そんなこと言っても朕には見え見えだ。従者のヤマメですら住ませなかった屋敷に一部屋丸々使わせている辺りがとてつもなく怪しい。なあドゥブラお前はどうだ」

 顔に並んだ目が互いに押し合いながら大きく開いて、ドゥブラに聞く。

「私はこの間のシルヴィ-の誕生日パーティーで、背中に乗っけてたので勘づいたよ。弟は普通の異形の民ではご不満だとね。」

 ドゥブラは玄関ホールに飾りとして置かれた一人掛けソファーに腰をゆだねた。

 カルーナは細く長い指を一つ伸ばして

「お前が焦らせたからではないのか。」

 ココ王はこの二人には何を言っても無駄だと言う顔をしながら戸口に足を運び、早く出ていけというジェスチャーをしている。

「まあ、そんな顔をするでない兄弟よ。囲われているかわいそうな異星人がいるとは、ウル地域のものには伝えているが、そのものに恋しているとは伝えていない。安心したまえ。」

 カルーナがココの肩に手を置いて言った。

「だから違うって。」

 頭をかきむしりながら王が答える。

「二人目の名前は朕に決めさせてくれ。」

「はいはい。」

 一つ肩を叩いてからカルーナは出ていった。

 まだ身動き一つしないドゥブラには

「兄貴!墓のしたのニーサン!さっさと森に帰れ!シルヴィ-とドラコ待たせてるだろ!」

 片手をあげる返事をしてから、戸口にあるきだして、マントから黒い傘を取り出した。

「はあ、全く。深追いしやがって」

 勢いよく戸を閉めた。

「カルーナさん、兄弟とかいってましたけど」

「兄貴と体が別れる前の奴がカルーナと兄弟関係だった。だから親類。かつ、グリマラのなかでも特に高貴な一族。」

 言ってなかったかと宙を仰ぎ見てから、さらに説明を加えた。

「ヤマメ達エレメトは、自然のプロ。ライトビは自然現象。私たちは人の心。兄貴は働かせるし、カルーナは罪悪感を生ませる。私は動かなくする。」

「この星では全員そうなんですか」

「いや、特技が全く見つからなくって力が分からず消されるか、エレメトに魔法を教えてもらい体を失うという道もある。滅多にないけどね」

「そうですか」

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