第23話 商業ギルド再び
次の日、呼び出されていた商業ギルドにレアは、ルシアスに連れられて訪れた。
なんでも急ぎとのことで、朝の日課を終わらせ虫配達は、工房の手紙配達当番がついでにしてくれるとのことで、レアの出す紙を報酬にお願いした。
ここでもレアの出す紙は、密かに人気らしい。
「で、連れて来たぞじぃさん」
呼び出した理由はなんだと、ルシアスはレアを伴ってギルド長室を訪れた。
「レア嬢ちゃんに、鑑定して貰いたかった者が居るんじゃが、今日来る予定だったんじゃが峠で馬車の脱輪で遅れると連絡あってのう」
呼び出したが、予定変更になったらしい。
「今日中に着くかもしれんし、悪いんじゃが、レア嬢ちゃんは、鑑定室で待機してくれんかのぅ?働いた分は、きっちり支払うんでのぅ」
代金の方は、今回から時給銀貨1枚に値上げしてくれるようだ。
前回の薬草捌きが早く、かなり助かったと言われた。
ルシアス様は、ギルド長と話し合いらしくレアは鑑定室にむかうことにした。
「こんにちは」
ノックしてからレアは、鑑定室にはいる。
かなり忙しいのか、挨拶がわりに手を上げて返される。
「ちょっと待ってて。これ終わらせる」
ナーリアが、目の前のアイテムの鑑定結果を記入しながらレアに言う。
今日も、かなり忙しいようだ。
「よし、これそこの棚に入れてと」
急いでいたのは、今日取りに来る予定の魔道具の鑑定でかかりきりになっていたからのようだ。
「何を手伝えば良いですか?」
前回来た時より、時間が早いせいか薬草や植物よりも、宝石と魔道具っぽい物が多い。
「今ね。ダンジョンから発見された魔道具とか宝石なんかが集中しちゃってるんだわ」
木箱に、書類と番号札に、魔道具や宝石と言った物が見える範囲で20箱以上置かれている。
「レアちゃん。これ鑑定できそう?」
鑑定スキルは、個人により得意か不得意かの物に分かれる。
差し出され木箱には、赤味がかかった宝石がかなり入っている。
「見て見ますね」
宝石の場合、大きさと色合いに中の不純物の割合で分けているようだ。
渡された割合表の基準に合わせ、レアはまず大きさ別に分け、色の違いでさらに分けるが、置き場所に困った。
「これ使って」
専用トレーを渡され、選り分けた物をのせメモも追加していく。
不純物は、3ランク段階に分けているようなので、それも記入する。
「これだけ炎石ですね」
赤味よりもピンクがかった宝石は、小指の爪程の大きさだ。
「魔宝石もあったの?本当だ。これは気付きにくいわ」
レアが、宝石鑑定も大丈夫そうだと分かったようだ。
「今日は、宝石中心に鑑定してくれる?終わったら隣のドアラーガが買取価格を記入してくから、分からないことは、彼に聞いて」
ひと通りの説明をしてもらい、ドアラーガの隣の作業机を使ってくれと言われる。
「前回は、ろくな挨拶も出来なかったな。ドアラーガと言う。これでも人と獣人のハーフだ」
見た目人族だが、目が猫目のようだった。
チラッと鑑定してみたが、外見では人族が強く出て、獣人の特徴は目やスキルに現れたようだ。
「レアです。よろしくお願いします」
仕事開始と、積んである木箱の上から取ってくる。
専用トレーも、側の棚に積んであるから、必要ならそこから取って構わないようだ。
木箱の中の宝石は、緑系が多い。一緒に手の平に乗るサイズの宝石箱も入っている。
「宝石箱の場合の、鑑定はどうしますか?」
「それ売らないって話だから、中身の鑑定と、効果分かれば鑑定してくれる?後、宝石以外もあった場合は宝石箱と同じ様に鑑定してくれれば良いわ」
ナーリアが、補足説明をしてくれた。
鑑定結果をメモしながら、宝石箱に使われている宝石を、見るとこの大きさなのに盗難防止の隠蔽効果が掛かっている。
箱に付いた宝石が、4つ程魔宝石だった。
宝石箱の効果と、魔宝石をメモに記入する。
鍵の解除はされているからか、すんなり開いて中に2つの指輪が入っていた。
どちらも青い宝石だが、効果に暗視、隠蔽、通信の効果が付いている。
通信は、この指輪をはめた者同士なら念話が可能なこと。念話出来る距離は不明。嵌めてみないと分からないとメモする。
「どうした?見えない物があったのか?」
考え込んでいたレアにドアラーガが、声をかけてくる。
「宝石箱の中の指輪で、効果に嵌めないと分からないのがあるんで、この場合はどうすれば?」
「読み取れたことだけだ。ヘタに身に付けない方が良い。装身具だと、身に付けた者しか使えなくなる物もある。ただこの効果は物騒だな」
ドアラーガが、ナーリアを呼ぶ。
「これだが、誰が持って来たか分かるか?渡す相手によりかなりマズイかもしれない」
「それ王に献上するって、聞いた物ね。どの国の王とは聞いてないわ。敵対国だった場合は確かにマズイわ。ギルマス懸案にするから、レアちゃん鑑定終わったら私の方に渡してくれる」
レアは頷くと、残りの宝石の鑑定をして必要なメモもするとナーリアに渡す。
「さっきの様な物は、ダンジョンから発見されることも珍しくはないが、気になることは必ず言って欲しい。商業ギルドの場合、集まった情報はどんな小さなことでも周りに言って欲しい」
ドアラーガが、情報の重要性をレアに教える。
「分かりました。気になった事は追記で記入しておきます」
ただの宝石鑑定だけかと思っていたのが、かなり物騒だなと思う。
さっきの指輪は、暗殺者が持ったら物騒だろうなと、前世の友人から借りた小説で読んだ知識から思い出す。
現在、この国は他国とは戦争はしていない。
していないが、諜報活動は国ごとにしていると考えられる。
さっきの指輪が、どれくらい離れた距離で使えるかによって、情報の伝達が早く伝わることに使えるなら、それだけ有利だからだ。
レアが考えた所で、国の上層部が何を考えているか分からないし、今は目の前の仕事をこなしていくだけだ。
次の木箱に入ったのは、赤い宝石が5個だった。
これは全部普通の宝石で、特に引っかかるような鑑定結果も出なかったので、必要な事を記入したら横に回す。
鑑定する宝石は、赤、緑、黄が多く稀に青と紫が含まれている。
ダンジョンの20階層より、下の階層からしか発見されないのか、それだけ下まで行ける冒険者ランクはBランクかららしい。
特にここまでが、このランクとは決まっていないが、安全に狩れる階層分けをするとしたら、
10階層までがDランク、15階層までならCランク、20階層より下がAとBランクのチームで潜っているようだ。
半分ほど鑑定を終えたら、ポンと肩を叩かれた。
「お疲れ様レアちゃん。お昼行ってきて良いわよ。かなり集中してくれたから、助かるわ」
ナーリアが声をかけてくる。
「分かりました。ギルド長からなんか言伝なかったですか?」
鑑定して欲しいと、言った人達は無事に馬車の修理が出来たのだろうか?
「特に、何も言ってなかったわ。お昼は、外の屋台でも、ここの喫茶室が2階にあるからどっちでも大丈夫かな。喫茶室に行くなら、これ見せるとランチにオマケでドリンク付くから」
ギルドマーク付きの金属プレートを、レアに渡す。
「これギルド職員の特典の1つで、レアちゃん臨時だけどギルド長から許可貰ったから渡しておくわ。売店でも、これ見せれば2割安く買えるから無くさないようにね」
レアは頷くと、喫茶室へ行ってみようと思った。
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