向き合う 8
朝リヤカーでビールを運んでいるボンと会う。
「あれからサエがめっちゃ明るくなった」
そう言うと路地の中に消えて行った。あの日から二人は同じ布団の中で寝ている。
今日は地上げの進行をチェックしがてら新聞社の近くで記者と待ち合わせしている。
「ITMファイナンスの最近の情報は?」
「そうですね。どうも伊東退任だけでは済みそうにありませんね。これは東京のライバル誌ですが」
と言って白黒の写真を見せる。
そこには伊藤と話している『白薔薇』のママの写真が載っている。
「これはいつくらい撮られた写真なのですか?」
「10日ほど前でしょう。『白薔薇』のママの後ろ盾は頭取とはこの業界では周知の事実です。それに大蔵省がメイバンクの頭取を呼びつけていますよ。負債は銀行も入れると1500憶では済まないと言われています。バブルを抑える意味でも政府は厳しい手を打つだろうと言われています」
記者もまだ頭取と総理の黒い関係は知らない。
「伊藤の行方は?」
「関西で消えたと言われていましたが、どうして東京のホテルで『白薔薇』のママと会っていたのでしょうかね?」
身の危険を感じていた伊藤がどうして東京まで出掛けたのか。これはカオルが例の証拠を持ち出したのだろうか。
「これはオフレコですが、警察が第2総務課長の自殺の調査に加えて前任の課長の行方不明も調査を始めましたよ。その眼鏡だけでは危ないですね。警察の写真はスーツ姿で髭もないですから」
私が警察に上げられたらカオルの絵はすべて壊れるだろう。ひょっとして殺されることも。
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