第37話 魔玩獣
其れは、身が引き裂かれる程の激痛が、自分に降り掛かった時、
其れは、全てを思い出す、
『殺せ!此の化け物を殺せ!!』
俺を殺す、笑わせるな、俺は!!
ドガッ、
私は、死んだ、
酷い、痛みだ、
『なんて、醜い化け物だ!!殺せええええ!!』
私は、何度も生まれ代わり、そして、何時も、理不尽に殺された、
何故だ、
何故、私は力を失ったんだ、
何故、『
何故だ、
私は、泣いていた。
グサッ!!!
『ちっ、頭が三つも有るからしぶてぇんだよ、潰せ!!!』
グチャ!!!
『コイツだ、此の悪魔が、コイツが、襲ってきたから、』
私の体に、撃ち込まれた、鉛玉が、私の命を削って行く、
私は、動けず、大地に横たわっている、
私が、一体、何をしたんだ、私は、私は只、腹が空いて、その、お前らが棄てた、その塊が、食いたかっただけだ、
何故、私は、生まれ代わる度に、こんな理不尽な目に会うんだ、
『
空には、星が光っている、
星よ、お前達の仕業か、私が、お前達に祈らないからか、
お前達に、願えば、
私は、許されるのか、
バコォーオオオオオンンン!!
私は、二十回目の死を迎え、
私は、頭を引き剥がされる、激痛で、目を覚ました。
其れは、腹を空かしていた、
そして、其れは、自分が再び、力を取り戻した事を、知った。
永く続いた、永遠の理不尽が、やっと終わった事を知った。
俺は、公都の新聞社で、記者をしているローシィさんと、バルセリア高校の図書館で知り合った。
その時の俺は、『
其を解消する為に家庭菜園をする事にした俺は、野菜や穀物の種や苗を買いに農牧高校に行く事にしたら、
ひょんな事から仕事で農牧高校に行く必要があったローシィさんと、農牧高校に一緒に行く事になった。
そして、俺が異世界人である事を知った彼女は、俺の世界の話を記事にしたいと俺に言い、その代わり、此の世界の事を俺に教える、と言う提案をしてきた。
俺は、彼女のその提案を条件付きで受け入れ、彼女と契約を交わした。
俺は、彼女に俺がいた、最後の世界、スグル・オオエの世界の話をし、
彼女は俺に此の世界の事を、教えてくれた。
俺は
その時、俺が咆哮の振動を感じた時、此の学校の緑の制服を着た
血だらけの彼は、大声で、叫んだ!
「
牧場の方を見ると、千頭近い
俺は、恐怖で震えているローシィさんに、
「大丈夫だ。」
と声を掛けて、買った苗と種を、彼女に渡した後、
ダッ!!!
牧場に向かって疾走した!
ドガガガガガガガガガガ!!!
恐怖に目を充血させた、
彼等は逃げようとしていた、
あの
あの獰猛な殺意から!!
ちっ、
まず、あの暴走を止める!!
俺は、疾走しながら、両手に星を集める!
たかが、
だが、駄目だ、此の
星の剣じゃ
俺は、
俺は、ちょっと面倒だが、星達にお願いして、
星達は、『エーエ、ウシ?』、『ウシ?ウシ!ウシッシ!!』、『ウーーシ!』、と
なっ、頼むよ、君達なら出来る!
星は、機嫌を直して、暴走する
スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!
幾万の星が、暴走する
ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!
暖かな、星の光に包まれた
ドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッドガッ、
そして、牧場の南側に固まって、座ると、眠り始めた。
ウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモーウンモー、
うん、千頭近い
さてと、俺、
問題は奴だ、
奴は、牧場の中央で、殺した一頭の
奴は、三頭の頭を持つ四足型の魔獣、
かって、『
『
コイツは、ベルゴンゾーナよりは知性が有る
だが、コイツも所詮、俺にとっては
かっての俺は、星の剣の一振りでコイツ等、数百匹、数千匹を殺しまくった。
ズウゥワワワシュッ!!!!
俺の右手に星の剣が生まれる、
うん、調子良い、
奴は、俺に気付き、一つの頭が俺を睨みつける、その瞳は憎しみに赤く染まっていた。
他の頭は、一心不乱に
腹が減ってたのか?
食い終わる迄、待つか、
もう、一つの頭が、此方を見る、その瞳は悲しみの赤、
・・・
何なんだ、コイツは、
俺は、星の剣を真っ直ぐに天に
奴の最後の頭が、俺の方を向けて、俺を直視する、その瞳は絶望の赤!!!
クソッ、
何なんだ、お前は、
グワッ!!!!
奴が、全身に豪炎を
此で、終わりだ!
俺は、星の剣を、
星の剣を、
奴に、
ガッキイイイイイイイインンン!
奴に、
振るえなかった、
俺は奴を、弾き飛ばし、
奴は、回転しながら、体制を整えながら、咆哮する!
グウゥワオオオオオオオオオ!!
その口から、牙から灼熱赤光を発し、
豪赤発光線が俺を直撃する!
下らん!!!
俺は、剣を振るい、
バッコオオオオオオオオンン!!!
豪線が砕け散り、
ズダァアアアアアアアアンン!!!
俺の廻り、十メータの大地が抉られ、土砂が舞い上がる!!!
ダッ!!!!
俺は、奴に接近し、星の剣を振り上げ、
今度こそ、終わりだ!!!
『何故!!!!!!!!』
ちっ、『
俺の心に流れ来る、叫び!!!
バッ!!!!!
俺は奴と距離を取り、星の剣を構える。
だが、奴の心の叫びが止まらない!
『俺、何シタ!!何故、オ前、俺、殺ソ、スルゥウウウウウウウウウ!!』
奴の絶叫が、拡大スピーカーのように、俺の頭に響き渡る!!!
バッシュウンンンンンン!!!
奴は、再び豪炎を
俺に襲い掛かる、
ゆっくりと、
俺の目には、ゆっくりと、
そしてその瞬間、俺は、奴の、
ドルディンゾーナの、
理不尽な、
余りにも、理不尽な、生と死を、
理不尽に繰り返してきた、生と死を、
奴の生と死の、残酷に繰り返す、
呪われて、繰り返さなければ為らなかった、その生涯を、
俺は知った。
あぁ、そうか、こいつは、
俺と同じだ、
そうだ、
俺は、思い出す、
あの時の事を、
二千年前の、
あの事を、
あの時、俺は、
その為、大陸程の巨大な
その亀裂から巨大な忘却の噴煙が巻き起こり、
噴煙は、俺に、
忘却の噴煙は忘却の大竜巻となり、俺を、俺の回りにいた、
そして更に、
万を越す
巻き込みながら
俺を含む全てを巻き込んだ忘却の噴煙は、
そしてその時、俺は、
其れは、不条理な世界、
力なき世界、
俺は、抵抗した、
その世界の不条理に、
だから、戦い、何度も殺された。
族長に、王に、統治者に、国に、そして、経営者に、戦いを挑んだ。
その全てに、俺は、
ドルディンゾーナの意識が、俺に流れ込んだ時、
俺は、知った、
不条理の世界で、彼が受けた仕打ちを、その姿が醜いと言うだけで受けた、不条理な仕打ちを、
知った。
そして、彼も、俺と同じく、その不条理と戦い、何度も命を落とした事を、
俺は知った。
俺は、彼に語る、
あぁ、分かった。
そうだ、
全ては、
俺の手から、星の剣は消え、
俺の喉元にドルディンゾーナの巨大な牙が迫る、
牙は、俺の喉元を、
別の頭の牙が、俺の腹に、
もう一つの牙が、俺の
ドルディンゾーナは、俺を噛み殺そうと必死に、俺の体にその巨大な牙を撃ち込む、
だが、牙は、俺の体を貫く事は、
無かった。
ドルディンゾーナは、泣いていた、
その、絶望の赤い瞳から、涙がこぼれ落ちて、
『何故!!!何故、俺、オ前、殺セナイ!!!!!!!!!』
俺は、彼に語る言葉を、
思い付かず、只、彼を抱き締める事しか、出来なかった。
俺は、『
彼を、世界から守る為に、
俺は、彼に語り掛けた、
済まないと、
俺は、知らなかった、
君達に、命が有る事を、
君達に、生が有る事を、
君達に、尊き意志が有る事を、
俺は、彼を抱き締めながら、
彼に、謝り続けた。
時が過ぎ、彼は、俺を殺す事を諦め、俺から離れた。
『腹・・・減ッタ・・・』、
彼は、呟き、寝ている
俺は、彼を止めた。
駄目だ、此の牧場の
彼は、立ち止まり、俺の方を振り返って、一つの頭が此方を向いて、
『俺ガ、死ヌ?』
そうだ、君は、昔の君じゃない、君には肉体が有る、肉体は無くなると、死ぬんだ。
二つ目の頭が、俺に向かって
『・・・俺ハ、強イ、』
あぁ、君は強い、だが、君より強い者が沢山、此の世界にいるんだ、君はそいつ等に殺される、
三つ目の頭が、悲しそうに、
『・・・俺、マタ殺サレル、』
全ての首が
『俺、腹ヘッタ、』
どうやら彼は、三つの頭が有るから、大食漢のようだ、
さて、どうする、
俺は、右手に星を呼んだ、
その星に、此の世界で沢山の野生の動物がいて、まだ人がいない場所が有るかを聞いてみた。
星はクルクル回転して、俺に、
『アルヨ、アルヨ』
と話す。
其処まで、彼を運べるかい?
星はぷるぷる振るえた、
『ムリ、ムリ、トオイ』
そうか、無理か、さて困った、
星はピョンピョン跳び跳ねて、
『ゲート、ゲート?ゲート!』
ん!
『
星の力で、距離を無効にした『
確かに其なら、彼をその場所に運べる、だが、『
星は左右に動きながら、
『??デキル、デキル!』
えっ、
出来るのか?
まさか、
星は前後に動きながら、
『カクス、トメル?』
?
『
常時発動している、『
星がぷるぷる震える、
・・・そうか、
俺は、星の言葉に従って、『
ズゴォオオオオオオオオオオオ!!!
膨大な星力が俺の体に流れ込み、
えっ!
俺は、光輝く俺の体を見る、
此れは、
星は嬉しそうに前後左右上下に跳ね回り、
『チカラ、チカラ、コーリン、チカラ』
成る程、此が、今の俺の実力って分けだ、
此なら、『
まず、此の光を消を消す程度の『
スゥウウウウウウウ
よし、まだ力は、充分に有る、
俺は、星が踊っている右手を水平に前に突き出し、右手の指先に星の力を集め、
唱える!!!
『
グウゥアアアアアアンンン!!!
ゲホッ!!!
ヤベェ!!!
俺の星力が、半分持ってかれた、
・・・
俺の右手の指先から、ゆっくりと長方形の
良いぞ、もっと大きく、彼が、通れるくらい!
グゥウウウウウウウウウンンン!!!
ドルディンゾーナの身長は2メータ位だから、充分、通れる大きさだ。
彼は、俺が何してんだ一体、ってな顔で此方を見ている、俺は彼に手招きしながら、此の
此の先は、未開の地で人はいない、其に、野生の動物が沢山いるから、食べ物にも、困らない、君は此の『
・・・
彼は、暫く考えた後、俺の方に近寄って、その鼻先を俺に押し付けながら、俺に先に行けってなゼスチャをする。
えぇと、俺に先に行けって事?
彼の右の首が頷く、
一緒に行かなければ駄目なの?
彼の真ん中の首が頷く、
一人じゃ、行きたくないの?
左の首が頷く、
・・・
・・・
俺は知った、彼って、見掛けと違って、
甘ったれだと言う事を、
まんま、
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