第21話 コーリン・オーウェル
俺は、バルセリアの
其処で、俺は、
その後、やっと本題で有る、俺の本当の名前、コーリン・オーウェルの話題にたどり着いた。
此の名前を出すと、やはり、何故かウェラさんもビックリして、
「あんたの年で、そんなの読みたいなんて、変わってるね。」
? どう言う意味?
「確か、児童図書コーナーに一冊有ったかな?」
ウェラさんは考えながら呟く、
児童図書?
ウェラさんは、カウンタから出て、俺を児童図書コーナーに案内してくれた。
児童図書コーナーは、
やはり、棚にはタイトルが書かれた、いろんな色の箱が沢山並んであった。
ウェラさんは、腰を屈めて隅っこの方から、一つの箱を取りだし、
「これだ、此れだね。」
その箱を、俺に差し出した。
ウェラさんは、ちょっと考えながら、
「スグルちゃん、
俺は胸張って、
「嫌だなぁ、ウェラさん、俺は東の辺境の出身だよ、知るわけ無いじゃん。」
ウェラさんは呆れて、
「何、開き直ってるのさ、仕方無いねぇ、そんなんじゃ、あんたは、
流石に、ウェラさんは怒って、俺の頭がパーでっせと言い始めた。
「
あっ、
ウェラさんは、赤い箱に横にあるスリットを指しながら、
「良いかい、スグルちゃん、その
成る程、前にエルさんに見せて貰った
「分かったかい、スグルちゃん」
ウェラさんが、俺に念を押すので、俺は、
「あぁ、分かった、充分わかった。」
とウェラさんに答え、俺はウェラさんから、
そして、俺は俺の物語を読み始めた。
・・・
・・・
・・・
まぁ、エリちゃんや、ハルチカが、俺の名前で驚くのも、無理無いわなぁ、
酷くねぇ、此れ、
此の話は、世界中で、結構有名らしく、子供達には大人気で、結構読まれてるらしい、此れは後からウェラさんから聞いた。
ハッキリ、言って、中身は、
怪獣大戦争だ、
心のネジ曲がった、醜い男、コーリン・オーウェルが、美しき姫に邪恋の恋をした、魔の神は、コーリンに
更に、その美しき姫を我が物にしようと、地より、魔の人が現れる!
二人の、魔人の戦いは壮烈だった。
・・・
確かに、スッゲー迫力、
前の世界の、特撮巨大ヒーロと大怪獣の決戦って感じ、
此れ、たぶん、二千年前の俺と『
二人の巨人の戦いは、大地を破壊し、多くの街を、山を破壊し、世界は混沌と化した。
そんな状況に困った、民と姫様は、魔の神に祈った、神は祈りを聞き届け、此の混乱の大地に一人の勇者を送った、
そして巨人、コーリンが魔人を六本の巨大な剣で、大地に縫い付けて、七本目の巨大な剣を魔人に突き刺そうとした時、
勇者は、その手にした剣で、コーリンの尻を刺し貫いた。
・・・
・・・
・・・
まぁ、子供は尻が好きだし、
児童図書だから、
・・・
でっ、コーリンは、その尻に突如、起きた、激痛に思わず、手にした七本目の巨大な剣を自ら取り落とした瞬間、
勇者は、もう一度、尻の穴に、
ブスり!
・・・
児童書、児童書な、
・・・
そして、あまりの痛みに、巨人から醜い人に戻ったコーリンは、
勇者と姫様に、土下座して謝った。
・・・
児、児童書、
・・・
改心した、コーリンは、鐘が鳴り渡る、勇者と御姫様の結婚式の日に、
魔人を連れて、地下の世界に旅立ちました。
めでたし、めでたし。
・・・
・・・
酷くねぇ、俺の扱い!
・・・
本のタイトルは、
『コーリン・オーウェルその改心』
・・・
此れも、後からウェラさんに聞いたのだが、コーリン・オーウェルの名前は、子供達に取っては、
道化の代名詞なんだとか、
・・・
そりゃ、エリちゃんは怒るよなぁ、道化の名前出したら、ふざけてるって、
・・・
ふぅ、
俺はため息を付いた。
・・・
まぁ、確かに面白い、
・・・
俺の名前が、出なければ、
此の
そうだ、あの日、世界に始めて、神が生まれた。
神が生まれた事について、世界を動かす、
「神が生まれたのは、民が、星の加護の無い多くの民が、神を望んだからだ。」
と俺に説明してくれた。
当時の俺は、彼の言ってる事の意味が分からなかった。
そう、思っていた。
そうだ、当時の俺は
あの時の俺は、一度も、星の加護の無い者とは、口を利かなかったし、
相手にもしてなかった。
・・・
心のネジ曲がった、醜い男、コーリン・オーウェルか、
星の加護の無い人々が、俺を見てそう思ったのも、無理ないかぁ、
今の俺から見ても、当時の俺は嫌な奴だった。
其に、俺達、
彼一人だった。
彼の瞳は、遥か未来を見ていた、彼は、神が此の世界に降臨した時、
既に、此の、『
終焉を迎える事を、
知ってたのかもしれない。
『
魔人を産み出し、街を、都市を、国を破壊しては再生して喜ぶ、無邪気な赤ん坊だった。
『
此の事態に、赤ん坊の神、『
彼等は、俺達、
そして、其処で、俺は『月の星国』の、
『
ルーナ姫と出会い、
恋に落ちた。
俺達は、会議そっちのけで、二人でデートしていた、
俺の人生で、剣皇の修行以外、何もして来なかった俺の、始めての恋だった。
だから、その時の俺は有頂天だった。
そして、ずっと側に居てくれた、
彼女の気持ちに気付かなかった、
嫌、知ってたのかも知れない、しかし、たぶん、その時の俺は、彼女の気持ちを無視していたんだと思う。
その当時の俺は、そう言う奴だ。
そして、会議は
彼の提案は、『
『
喪われし地平への道は
俺が、その地平で七本の星剣を『
彼は、そう俺達に、『星の六大国』の指導者に説明した。
勿論、魔人達は邪魔をするので、『星の六大国』で、魔人達を牽制する。
作戦は、金の星が最も、此の大地に近付いた日。
その日、俺は戻ったら、ルーナ姫に『星のピアス』を贈ろうとピアスを購入した、
そして、
俺は、星剣の
俺の
俺と魔人共は、切り口から発生した、忘却の渦に巻き込まれた。
・・・
結局、俺は、ルーナ姫の処へ、皆の処へ戻って来る事は出来なかった。
其は、二千年前の、つまらない話だ。
そして、俺は幾度も、忘却の果ての星の力の無い世界で生まれ変わり、
やっと、
二千年後の、全てが失われた、此の世界に戻って来た。
其が、現在。
「スグルちゃん、スグルちゃん。」
一体、どのくらい時間が経ったんだろう。
ウェラさんが、俺に声を掛けて来て、俺の思考は二千年前の過去から現在に引き戻された。
「随分、熱心にその本、読んでたけど、何がそんなに、気に入ったん
だい? スグルちゃん。」
ウェラさんが、俺に問い掛ける。
俺は、児童図書コーナーに居る自分に気が付き、ゆっくりと回りを見回した後、ウェラさんに向かって、
「まぁ、コーリン・オーウェルの全てが気に入った、只、其だけだよ、ウェラさん。」
そう、彼女に答えた。
彼女は、暫く考えた後、やれやれって顔して、
「スグルちゃんは本当に変わってるねぇ、コーリンは
俺は、ウェラさんに微笑んだ後、ゆっくりと首を振りながら、
「有難う、ウェラさん、でも、もう良い、コーリンについては、今日の此の一冊で充分に分かったから。」
その返答を聞いたウェラさんは、嬉しそうに、
「そうかい、そうかい、そりゃ良かった、じゃ、もう時間だから、此の
えっ、もうそんな時間なんだ。
「御免、ウェラさん、何か手伝う事有る?」
ウェラさんは、手を振りながら、
「別に無いよ、掃除道具持って、早く
俺は、ウェラさんの言葉に従って、急いで、
外は、日が沈む時間に成り、景色は、夕陽で赤く染まっていた。
天空には、
その輝きは、二千年前と変わらぬ輝き、
しかし、その輝きを見る俺は、二千年前の俺と、今の俺とでは、大きく変わっていた。
前の世界の童話に、木の人形が、人に成りたいと、星に願って、世界を旅する話があった。
その話は、俺の好きな話の一つだ。
かっての俺も、人の心を持っていなかった。
そんな俺が、多くの世界を渡歩いた時、何時も星に願って泣いていた。
俺は、多くの人の、心の痛みを知った。
そんな俺が、
此の世界で、
本当に、人に、
成れたのだろか、
俺は、夜空に瞬く星に、
そう、聞いてみた。
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