第7話


『全体で考えれば『ボス』は、付近のゴブリン殲滅には拘らないようだ』

 ウィンチェスターM1866の引き金を絞り、轟音を轟かせている

 黒サングラスを着用している『ブルース・ウィルス』が、

 言葉を発した

『糞ったれゴブリンどもの息の根をじわじわと止める気なんだろ?

 しかし、これはブリーフィングの比じゃぁねえな!

 あっちもこっちもやる事が多すぎるぜ!』

 特に焦りを感じさせない口調でツッコミを入れたのは、黒サングラスを

 着用をしている『ロバート・デニーロ』だ


 もちろん2体とも「召喚人」で、吹き替えでもされているかの様な

 流暢な日本語を発している

『俺だってこんなクソッタレな展開は御免だよ!』

 黒サングラスを着用している『ブルース・ウィルス』が、奇声を発しながら

 錆びた鉈や剣を所持して近づいてくるゴブリンの群れに、ウィンチェスターM1866の銃口を向けて引き金を絞りながら、連射した。

 銃口から赤みがかった火簸が十センチほど舌なめずりした後、轟音と共に

 迫り来るゴブリン達の醜悪な貌や身体を千切れさせ、緑色の液体を吹き出させて

 辺り一面に撒き散らした。


 撃ち終わって数秒後、辺りに硝煙の臭いが漂う。

 黒サングラスを着用している『ブルース・ウィルス』は、撃ち終わった

 ウィンチェスターM1866から空になった薬莢を排莢して、

 地面へカランと音を 響かせるように落とす

『お見事』

 黒サングラスを着用をしている『ロバート・デニーロ』が、茶化す様に

 讃える

『こういう時のために訓練してきたんだぜ?

 さあ、生存者はこの先だ!! 急ぐぞ!!』

 黒サングラスを着用している『ブルース・ウィルス』が、

 ウィンチェスターM1866を構えつつ走り出す

 黒サングラスを着用をしている『ロバート・デニーロ』は、まるで

 長年連れ添った相棒の様に息が合ったコンビネーションで

 周囲にいるゴブリンを狙い撃つ

 銃身から赤みがかった火焔が十センチ程舌なめずりをして、確実に

 ゴブリンを仕留めていく


 2体の『召喚人』が進んだ場所ではゴブリンの群れが建物を包囲して、

 屋内に立てこもっている生存者を引きずり出そうとしている

 光景が広がっていた

 屋内へはまだ攻め入ってはいない様子だったが、時間の問題だ

 瞬時に判断した2体の『召喚人』は、ハンドシグナルでお互いに

 確認し合うと先に黒サングラスを着用をしている

『ロバート・デニーロ』が先に動いた

 視線の先にいるゴブリンを補足し、ウィンチェスターM1866の

 引き金を絞る

 銃身から赤みがかった火焔は十センチ程舌なめずりをして、標的にした

 ゴブリンを撃ち抜いた。

 その火焔はゴブリンの頭部に着弾し、緑色の液体を吹き出させる

 射撃の勢いは止めず、そのままそれぞれのゴブリンの頸胸、腹に

 銃弾を撃ち込む


 胸と腹に弾を受けたゴブリンは、それぞれが地面に転がり

 動かなくなっている

 黒サングラスを着用している『ブルース・ウィルス』は、そのまま

 突き進み建物の出入り口や窓に、ウィンチェスターM1866で数発ずつ

 撃ち込んでいく

 その中に居るであろう生存者達を、外に逃がさない為だ

 黒サングラスを着用をしている『ロバート・デニーロ』は、警戒も

 怠らず周囲から隙間なく蠢くゴブリンに銃口を向けては、引き金を

 絞り続けていた。

『なるべく急げよ!』

 蠢く轟音に負けないように、黒サングラスを着用をしている

『ロバート・デニーロ』が呼びかけた。

 黒サングラスを着用している『ブルース・ウィルス』は、それには

 無言で頷いて応えると建物内へと突入を開始した


 建物内には、すでに幾匹かのゴブリンが入り込んだ形跡があり、床や

 壁などは汚れていた

 辺りを警戒 し手近な部屋へ躊躇なく入った

『誰かいるか!!  』

 黒サングラスを着用している『ブルース・ウィルス』が、

 そう言葉を発して安全を確認しつつ手近な部屋を見回すと

 部屋の隅で震えながら抱き合っている男女が2人いた。

 黒サングラスを着用している『ブルース・ウィルス』は、ウィンチェスター

 M1866の 銃口を下げながら、2人にゆっくりと近づく。

 2人の震えは止まり、お互い抱き合う力が少し緩んだのか貌を恐る

 恐る上げた

 その顔を上げた仕草から、顔立ちの良さが伺える。

『生存者発見!!―――もう安心だ。君たちを助けに来た』

 黒サングラスを着用している『ブルース・ウィルス』が2人へ

 伝えながら近寄った

 そして力強く手を握り2人を立たせて歩き出すように促すと、震える女性がそっと

 手を出し男性の腕を握り身を寄せる

 2人がしっかりついて来ているか背後を確認しながら、建物の出入り口では

 黒サングラスを着用している『ロバート・デニーロ』がウィンチェスター

 M1866の銃口を外に向けて、近づいてくるゴブリンに向けて

 警戒をしている

 また視線はしっかりと前を向きながら、周囲を観察していた。

『援護する―――!! 

 お前さんの貌がテロリスト一味を追い込んでいるみたいでおっかなくて

 怯えてるぞ?』

 ウィンチェスターM1866を連射しつつ、黒サングラスを着用している

『ロバート・デニーロ』が茶化すように伝える

『お前さんの貌が、鏡に向かって眼をキメたやべぇ人物で怯えてるんだ』

 黒サングラスを着用している『ブルース・ウィルス』が茶化された

 仕返しとばかりにわざとらしいため息をつくと、すぐにニヤリと

 笑みを作った

『だとすると、『ボス』の采配ミスだ!』

 黒サングラスを着用している『ロバート・デニーロ』がそう応えつつ、

 進行方向にいるゴブリンへウィンチェスターM1866の撃鉄を絞る



 ゴンザレスは二体の『召喚人』が無事生存者を保護して、

 戻ってくるのをじりじりとした気持ちで待ち続けていた。

「アーネスト! 『銅』級『鉄級』冒険者達を急がせて馬車に乗せろ! 」

 そう指示しつつ自分の足元に転がっているゴブリンの死体の一つを

 爪先で軽く蹴る

 それは、仰向けになり緑色の液体を噴きだした

 この異様なほど多いゴブリン集団の原因が、上位種『黒ゴブリン』で

 あることが判明するともはやこの一帯のゴブリンを殲滅する事は

 時間の無駄だと判断せざるをえなかった。

 だが、だからと言ってこのまま放置して撤収するわけにもいかない事も

 事実だ


 この『異世界』へ『転移』したことで、ゴブリンの繁殖力が『現世界』の

 ラノベやアニメなどで書かれ表現されている以上に旺盛で

 放っておくとあっという間に増え、村々を襲い 女性や子供を攫い

 食料にし繁殖の糧にする厄介な魔物であることを肌で感じ取っていた。

 ゴブリンの種類で、もっとも脅威と捉えているのは上位種の2種類だ

 その1種は上位種『黒ゴブリン』である

 戦闘能力は他のゴブリンよりも高く、さらには残虐性も増している

 力自慢の村人、駆け出し冒険者程度では太刀打ちできず、無残に殺される。

 特にある『能力』が脅威だ

 通常種は、個々の戦闘能力はそこそこで個人でも集団でも油断を

 しなければ冒険者や村人でも勝てる場合が多いが、上位種は

 個人では倒しきれない

 勝てたとしても周りの仲間 ゴブリンに群がられて結局餌食に

 なる事が多い

 ゴンザレスとナナシの『能力』ならば対処はできない事はないが、今回は

 生存者の救出という追加条件が存在している

 殲滅戦ではなく生存者の救出戦に限定して、 戦闘するべきだと

 判断をし行動を継続しているのだ

 だからと言って上位種『黒ゴブリン』を放置し、撤収すれば、背後からさらに

 増援と共に猛追され『倍返し』をされてしまう

 それに現状は手持ちの戦力では無理がある事も想定はついている

 上位種『黒ゴブリン』でも、叩いておけば他のゴブリン達への

 牽制にもなる

「――――――こちら『ゴンザレス』

「ナナシ」ヘ、生存者保護及び『黒ゴブリン』排除次第、合流しろ!!

 繰り返す!

 生存者保護及び『黒ゴブリン』排除次第、合流しろ!! 」

 手持ちの無線機で怒鳴りつけるように連絡を 入れた

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