第3話 僕の夢のマイホーム…… (2)

 いくら僕の目の前に、美しい山口さんが座っているとしても。男らしい見栄を僕は張ることなどできないよ。


 だって僕みたいな普通のサラリーマンの収入に対しての貯金額も無限ではないから……。


 本当はね、彼女もいないし、先程僕が、自身の想いを漏らした通りで。夢のマイホームは、僕のところにお嫁さんが嫁ぎやすいようにとなるといいな~? と、いった思いもあるから。美しい山口さんに僕の男らしい姿を見せたい気持ちはあるのだが。


 僕はそんな大それたことはできないので情けなく、慌てふためきながら言葉を漏らし動揺をしたのだが。美しい山口さんは、そんな僕の様子を気にした素振りもなく。


「山田様~。注文住宅だと言っても、土地の価格を落とした場所で建てれば。建売住宅等の物件とお値段的にも余り変わりませんよ~。それに注文住宅だと、建物に備えつけるシステムキッチンやバス、トイレ、壁紙等、お客様の好みにあった物が選ぶ事も可能なので~。奥様等も大変に喜ばれますよ~」


 山口さんは何故かしら? 少しばかり興奮気味な声色で、僕に笑みを浮かべながら説明をしてくれた。


 う~ん、でもね、傍から僕のことを見ている皆さんも知っての通りで……。僕には彼女もいない訳だから、奥さまなどいる訳でもないから。


「あ、あの……僕は未だ独身なので、奥さんなどいないのですが……」


 僕は山口さんに作り笑いをしながら答えたのだよ。


「そ、そうですか……。未だ御結婚の方はされていないのですか……。で、では、彼女様も喜ぶとは思いますよ……」


 僕が未婚者だと知った山口さんは、思わず動揺……。慌てふためきながらこんな感じで言葉を返してきたのだが。


 まあ、傍から僕のことを見ている皆さんは知っての通りで。僕には奥さんもいないが彼女もいないので。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る