第4話


 そんな事があった後日。


「だっ、大丈夫なの? それ」

「大丈夫? 痛くない?」


 学校に行った私は案の定みんなから心配された。


 一応、痣が見えないように首に包帯を巻いて過ごしていたが、やはり周りの人たちはそんな私を心配してくれた。


「あっ、えっと……」


 ただ、その理由は……上手く説明することが出来ず「ちよっ、ちょっとねぇ」といつも誤魔化した。


 心配してくれる人には本当に心苦しかったけど……。


「……そっか。痛かった、保健室に行きなよ?」

「あっ、ありがとう」


 でも、本当にありがたかったのは、その話から深く追求してくる人がいなかった事だろうか。


「…………」


 いや、ただ気を遣ってくれた結果……なのかも知れない。それか「聞きたいけど下手に言うのもな……」と思ったからなのかも知れない。


 ただ、そのずっと残ってしまっている『痣』以上に深刻だったのは『寝不足』だった。


 どうしても……何事もなく生活をしていても『また襲われるのではないか』という不安が頭を過り、なかなか寝付けない日々が続いた。


「……」

「……」


 だから、そんな日々を過ごしていれば目の周りに『クマ』が溜まってしまい、さらに周囲の人たちを心配させる……なんて悪循環になってしまっていた。


 いつ倒れてもおかしくない……。


 そんな私を見かねた両親と祖母は『お祓い』についてパソコンで色々調べてくれていらしく――。


「え、今日?」


 学校休みだった今日。私は母に連れられてその『お祓い』をしてくれる人の元へと行くことになった。


■  ■  ■  ■  ■  ■


 通された部屋は、なんの変哲もないただの畳の部屋……つまり『和室』だった。


「こんにちはー、わざわざ遠路はるばるありがとうございますー」


 ただ、私と母の前に現れた『その人』はかなり特徴的な話し方をする……というか、若干語尾が伸びる……という人だった。


 でも、それがこの人が意図的に……という感じでもないから、特にイラつく感じもしない。


 少し、気になる程度だ。


「あっ、いえ」


 しかし、それだけで人を判断するのは失礼だろう……と、私は早速『例の写真』をその人に見せた。


「拝見させてもらいますねー」


 そう言ってその人が一瞥すると、すぐに。


「一つ聞いてもいいですか?」

「はっ、はい」


「お母様のご実家で拾った……と聞いたのですが」

「はっ、はい。母方の……祖母の家で掃除をしている時に偶然……」


「そうですか、ではお母様に『お姉さん』もしくは『妹さん』はいらっしゃいませんか?」

「…………」


「……え」


 私は驚いた。


 この人の話し方が変わっていた事もそうだが、母に『姉』もしくは『妹』がいた……なんて、そんな話は今まで聞いた事もなかったからだ。

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