寝られない!

第1話


「ふぁー……」


 ポカポカ陽気の今日――。


 こんな日は『昼寝』をするに限るな……と俺は思う。雨の日も「やる事が見つからなくて……」とかで『昼寝』をする事があるが、春。


 ただ、これだけ晴れていても、気温が暑すぎるのも寒すぎるのも良くない。明確な『気温』は分からないが、ちょうどいい……ボーッとまどろみが来るが、一番のポイントだ。


「よしっ」


 だから、本当はこんな「よしっ、寝るぞ」と意気込むほどの事ではないのだが……。


 でも、春はこういった『昼寝日和』の日が多いと思う。それに、キレイな花は咲くし、何より『晴れの日』も多く気温も暑すぎず、陽気な気分になりやすい。


 ただ『昼寝』は『昼以降』にするモノだと俺は思っている。


 これはあくまで俺の持論だが、たとえば『朝』に寝てもそれは『二度寝』だと思う。だから『昼寝』は『昼以降』にすべきだ。


 そう思っていたから、俺は午前中は宿題をして過ごした。それを考えると『昼寝日和』の日は俺からしてみれば『宿題日和』でもある。


 でも、決して苦にはならない。


 この宿題が終われば昼には『昼寝』が出来るのだ。たとえ、終わっていなかったとしても、昼寝の後にすればそれでいい。


 だから、今日は「昼寝日和だ!」と俺は意気揚々と照明を少し暗くし、布団を被って寝ようとした……。


「……ん?」


 それなのに、なんでそういう日に限っていつもは鳴らない電話が鳴り、珍しく仕事中のはずである母さんから連絡が来るのだろう……。


「…………」


 一瞬視界に入ったが、無視すればいいだけの……話。


 なんて思っていると……今度は家の固定電話が鳴りだす始末だ。そして、また無視をしても、今度は鳴りやまない。


「……」


 こういう時、なぜ今まで感じたことのない脱力感を感じるのだろうか……。多分、この脱力は思っていた通りに物事が進まない事に対して……なのだろう。


「はぁ……」


 とにかく、母さんは俺に電話に出て欲しい様だ。


「……仕方ねぇ」


 今は、この電話を出る……という事以外に選択肢はないらしい。


 ここで頑張って無視しても、帰宅後の母さんにグチグチ文句を言われるのは目に見えている。

 いや、今。電話をとっても同じかも知れないが……取らないよりかはマシだろう……と、俺は先ほどから鳴りっぱなしの電話の受話器に手を伸ばした。

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