影が言うことには、
Twitter300字SS第76回お題「影」より(300字、改行含まず)
「疲れた」
おれの声なのに、おれの言葉ではない呟きが聞こえた。次いで「やべっ」という声も。
恐る恐る地面に目をやると、影が頭を抱えていた。おれの手は曲げた膝の上にあるのに。
影が喋った?
うろんな目で影を見つめると、右を向けとでもいうように影が指を差してきた。おれの動きをトレースする気はないのか。
仕方なく首を横に向けると
「声を聞きたきゃ下を向くなよ。横顔になったときだけ喋れるんで」
影が言った。
横顔なら唇の形も影に反映されるかららしい。
普段口ないもんな、おまえ。
「文句もままならねえ。動きを模倣するのも楽じゃないってのに。もう疲れたぞ、ご主人」
だから、今日はそろそろ家に帰って休めよ。
影はそう言って噤んだ。
【了】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます