私の世界のオワリ

Twitter300字SS第28回お題「火・炎」より(300字、改行含めず)

 

 夜空に突然現れた巨大な火球を果たして人々はどんな想いで見たのだろうか。

 天が気まぐれにもたらした贈り物か、それとも何か不吉の前触れと見たか。


 ただどちらにしろ、私ほど絶望を感じた人はいないに違いない。

 あの火球の正体について知る人も、きっと。


「この極秘計画が成功したら、もう皆に役立たずと罵られずに済む。寧ろ胸を張って堂々と君の隣にいられる」


 もしものことを全く考えもしない自信に満ちた瞳で言う彼を私は止めることができなかった。

 その結果が、この皮肉にも美しい天体ショーだ。


「馬鹿ね」


 例え他の誰に笑われても、指を差されても、世間が彼をどう評価したとしても、私はただ。


「貴方と一緒にいられるだけで幸せだったのに」


【了】

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