第十八便 中二病患者みたいなこと言わないでっ!

「……おかしいですね」


 ムカつく声が聴こえる。


「もう少し……に乗っても……ですが」


 オレはその声に問いかけた。


「何ですか?」

「あ、お、起きていたんですか?」

「いや、むしろ寝たとこですけど」


 そしてオレは何となくわかった。

 この自称女神の声は、オレのエンジンがかかっていない時にしか聴こえない。

 お兄ちゃんと話しながら、自称女神とも会話するのは無理ってことみたい。


 むしろその方が邪魔が入らなくていいけど。


「で、もう少し、とか、乗っても、とかって何ですか?」

「あ、いえ、こっちのことです。それより、なかなかの活躍ぶりでしたね」

「まあ、お兄ちゃんですもん」

「『荷車の騎士』という二つ名まで与えられて」

「ふふん」

「まあ、あなたに必要な能力を与えた私が優秀だと言うことですね」


 よく言うよ。

 オレを異世界トラックにはねられた男の子だと思ってたくせに。


「何ですか?」

「な、何でもないです! そ、それより」


 オレは肝心なところを訊いた。


「オレ、エンジンかけてないとお兄ちゃんと話できないんですけど、何とかなりませんか? 燃料も節約しないとだし」

「電源が入っていればいいのでは?」

「でも、それだとバッテリーすぐに上がっちゃうし」

「そのあたりは工夫してください」

「またそれですか」


 ちぇっ、役に立たないな。


「ただ、あえて言うなら、エンジンを切っていても、あなたのコンピューターは待機電源で稼働しているわけでしょう? 時計だって動いているようですし。そのあたりを工夫したらどうですか?」


 結局丸投げかよ。


「とにかく、これは私にとっても初めての例なので、何とか工夫してください」

「で、でも、燃料は? 材料が豊富とか言ってたけど、ガソリンの精製なんて無理ですよ!」


 返事がない。


「どんなにがんばっても、後800㎞くらいしか走れないんですよ? その後はオレ、ただの鉄の塊じゃん!」

「そろそろ行かなくては」

「ちょ、ちょっと」

「私が扱っている世界は2の○○乗くらいあって、あなたにだけ構っている暇はないので」

「そんな無責任な!」

「褒め言葉ですか?」


 自称女神は、中二病患者みたいな言葉を残して去って行った。

 

 オレも考えるのをやめた。

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