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少女の名前は平河弥雷という。年齢は七歳。ある晩に、【ナレッジ】の本体がいる場所へと連れて来られ、そこで「本体」は少女を複製した。そういうわけで、僕が見たその少女は単なる「複製」だった。【ナレッジ】いわく、「オリジナル」の方に本来存在していた特殊な部分を、「複製」の方にそのまま移し替えたというのだ。だから「オリジナル」の少女は、この戦いそのものに関わることなく、普通通りの生活を送っているとの事だった。複製の様子を直接見ることはなかったものの、「人間そのものの複製」は、おそらく彼にしかできない芸当だと思った。少女は三回目の対面の際には既に【ナレッジ】本体と一緒に居た。端から見れば、犯罪者の一歩手前なのであるが、その時の戦いの状況は熾烈を極めていたために、結局、誰も何も言わないまま、少女自身を戦いにおける勝利へのファクターとして信じ続けた。戦いが終わってから、少女の行方を知る者は誰もいなかった。

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