命のパン

ー 命のパン ー



セピア色した小さな町に


セピア色した小さなお店


コンビニもスーパーなんかも全然ない


そんな時代の そんなお店



石ころ蹴り蹴り家路につく


共働き


お父さんもお母さんも家にいない


お腹を空かせてトボトボ歩く



ヒロちゃんさ あんパンあげる!


小さな店から大きな声



古びた壁の 4畳半のお店に入る


パンの種類は あんパンとクリームパン


そしてジャムパンだけしか置いていない



おばちゃんありがと


でも、これカビてるよ



大丈夫 カビをとったら大丈夫


摘んで捨てて


おばちゃんのみせた満面の笑顔



それはその時 僕の命のパンだった


小腹は満たされ、幸せに


そして僕の血や肉になった



あんパンを見るたび思い出す


いい子にしてると神様がくれる


それは命のパンだった

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