19:31

じぶんのしあわせを守ることが、ほかのだれかのしあわせを壊すことかもしれない、なんて、きみは考えたことがあるだろうか。

ぼくは、ある。

だれかひとりを選ぶということは、ほかのだれをも選ばないということだ。

きみの幸福のしるしである、その銀の指輪は、ぼくにとっては死刑宣告とおなじくらい絶望的だということを、きっときみは知らない。

きみの、いつくしむようなほほえみが、ぼくに向けられたものではないことを恨んで、何度もきみを嫌いになろうとしたことを、きっとぼくは一生言えない。

いっそ、選ばれたひとりがいなくなれば、ぼくにも希望はあるのだろうが、そんなことをしたら、きっときみは泣いてしまうだろうな。

きみのしあわせとぼくのしあわせが共存することはない。

ままならない世界だ。






「おめでとう、やっとくっついてひと安心だよ。これからも末永く幸せにね。」



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