第30話 女神さま
「トントン」
ある夜、カナレと二人で寝ようとしていた時だ。誰かがドアをノックする。
俺とカナレは顔を見合わせた。
「誰だろう?」
「ちょっと待って下さい。表の人の臭いがしません。人ではない可能性があります」
「まさか、狐が来たというのか?」
「私が出ます」
カナレが玄関の方に行った。
俺もカナレの後をついて行く。
カナレがドアを開けるとそこには、カナレにそっくりの美人の女性が立っている。
「女神さま」
えっ、「女神さま」だって!
「失礼します」
女神さまはそう言うと、強引に中に入ってきた。
「えっ、えっ、あ、あの…」
「いいから、いいから」
女神さまはそう言うと、布団の敷いてある居間に来た。
「まあ、これが布団という物ですね」
女神さまは布団の上に座った。
「あ、あの、女神さま、どのようなご用件でしょうか?」
俺は布団の上に座った女神さまに聞いた。
「いえ、この猫の事です。天界から見ていましたが、狐には大分手こずっているようですね。
そこで、私がお手伝いしようと思って、態々出てきました」
「「はあ?」」
「ですから、私がお手伝いします」
「えっー、お手伝いって、どうするんですか?」
「一緒に住んで、お二人をお手伝いします」
「いや、いや、いや、女神さま、一緒に住むなんて、無理です」
ここにはもう布団を敷くスペースだってない。
「だって、その猫だけでは、あの狐に対抗するのは無理ですよ。
それに狐は、あれから力を付けています。今度戦ったら負けるのはその猫の方です」
「だからと言って、一緒に住むっていうのはどうなんですか?」
「ああ、この家が狭いという事を言っている訳ですね。それなら問題ありません。お二人のこの布団という物を並べて、三人で寝ればいいだけの話です」
「いや、そんな事無理です。それに明日は俺は大学とバイトがあるし、カナレだって今は働いていて、普通の生活をしているんです」
「では、私も働きましょう」
「それはそれで、問題です。それにどこで働くと言うのですか?」
「いえ、私も一回は人間界での生活っていうものをやってみたかったの、丁度、いい機会だわ」
「いえ、だからだめですって」
「分かりました」
「ほっ、分かってくれましたか」
「今日はもう遅いから、明日お話しましょう。さあ、寝ましょう」
女神さまはそう言うと、さっさと布団の中に入ってしまった。
「め、女神さま…」
「スースー」
「げっ、速っ」
女神さまは、横になったと思ったら、既に寝息を立てている。
「カナレ、女神さまの隣で寝てくれ。俺はカナレの隣で寝るから」
「しょうがないです」
カナレは女神さまの隣で横になる。
俺はそのカナレの隣で眠った。
翌朝、なんだか、窮屈な感じがして目が覚めると、目の前に女神さまの顔があった。
「ひっ、め、女神さま」
「あら、起きました?」
「な、何でしょうか?」
「いえ、そう言えば、昨日お風呂に入っていなかったと思って…」
女神さまとそんな話をしていたら、カナレも起きてきた。
「め、女神さま…」
「ちょうど良かったわ。お風呂に入ろうと思って。あなたも最初は嫌だったのに、今ではお風呂好きになっているから、そんなに良い物なら私も経験しなくちゃ」
「わ、分かりました。今、お風呂を沸かします」
俺は風呂のスイッチを入れる。
しばらくすると、リモコンがお風呂が沸いた事を知らせてくれた。
「女神さま、お風呂が沸いたようです」
「では、一緒に入りましょう」
「はっ?い、いや、一人で入って下さい」
「そうです。女神さま、男と女が一緒に入るのはだめです」
カナレも俺と女神さまが一緒に入るのには反対のようだ。
「あなただって、最初は一緒に入ったじゃない。私だけだめなのはおかしいでしょう?」
「そ、それは最初、お風呂を知らなかったからです」
「私だって知らないわ」
「それじゃ、カナレと一緒に入るのはどうでしょうか。
俺はその間に食事を作ります」
「朝食ってやつね。それも楽しみだわ。天界には食事ってないから、人間界の食事って楽しみだったのよ」
「それで、お風呂と食事が済んだら、出て行って下さいね」
「何言ってるの。ここに居るって言ったじゃない」
俺とカナレは頭を抱えた。
「さあ、まずはお風呂ね。たしか服は脱ぐのよね」
女神さまは布団の上で服を脱ぎだした。
「ちょ、ちょっと、女神さま、服は脱衣所で脱いで下さい」
「だって、ここで脱いだ方が手っ取り早いでしょう。いいじゃない」
そう言うと、あっと言う間に裸になったが、さすが女神さま、ナイスバディだ。
目が女神さまから離れない。
「ご主人さま、だめです」
カナレが俺の目を塞ぐ。最初に見たカナレの裸体もナイスバディだったが、それよりカナレについていた8つの乳首の方が気になって、そこまでは注視していない。
カナレは裸の女神さまを連れて風呂場の方へ行った。
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