畢竟‹ひっきょう›

ヘラヘラ生きていた私は、やはり置いていかれた。


みんなが就職が決まる中、何もない自分がいた。

将来の事、なりたいもの、やりたい事、みんなはもっとちゃんと考え、前を見ていた。


私は何も見ていなかった。

ただ、暗闇をもがいていただけだった。

自分の身を守る事に精一杯で、将来を考えられる程余裕なんてなかった。



ずっと仮面を被っていた。両親と兄からすると、文句も言わず、従順で良い子だっただろう。

私はただ、父親がキレださない様に、

攻められて可愛そうな母にならない様に、

兄に急に怒鳴られない様に、

波風を立てず、

顔色を伺って、

ヘラヘラしていた。


そんな風に生きてきた時間は、無駄だったと痛感した。



こんな環境のせいだ、と言えば、自分の努力が足りなかっただけ、と攻められる。


家族が嫌いだ、と言えば、親不孝者、育ててくれた事を感謝しろと攻められる。


こんな事は誰にも言えないし、多分、分かってもらえないだろう。



マイナスからのスタートの人生を、何とか表面上だけでも、ゼロに持っていかなければならない。とにかく必死に仕事を探した。


藁にもすがる思いで見つかった会社は、ブラック企業だった。

私が受かるくらいだから、そんなものだろう。



それでも、なんとか半年して独り暮らしを始めることができた。



畢竟…結局

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