おれはお前は
おれはチンパンジー
チンパンジーから生まれた
だからチンパンジーなんだ
当たり前だよな
容赦なくチンパンジーだった
強制的だった
選択の自由は最初からそこに無かった
まずチンパンジー
それが確立されていて
それ以外の要素が次々と後から付与された
土台のチンパンジーだけはけして崩せなかった
チンパンジーを崩すなら死ぬしかない
そりゃあ歯茎を剥き出しにしたくもなるよ
きしゃー
だってチンパンジーなんて何一つ面白くないぜ?
終わってる
お前たちの想像、以上にチンパンジーの生活は終わっているんだ
ああ、おれも人間に生まれたかったな
だがそれは不可能
「とにかくチンパンジーでやれよっ」
そのような通達が神様から下された
だが本当にあいつは神様だったのだろうか?
今、振り返ってみると疑問が残る
ただの腕力が強いだけの異常者だったような気がする
朝、起きる
激烈にチンパンジーのおれがそこにいる
鏡を見なくてもわかる
とんでもない毛量に全身が包まれている
(これでチンパンジーでないとしたら一体、何なんだ?)
その方が恐ろしい
まず間違いなくチンパンジーである自分が起床する
そして与えられるバナナとかを頬張る
疑問は無い
あるいは疑問しかない
服を来た連中が動物園でおれのことを囲み入れ替わり立ち替わり眺めていた
だがお前たちは気付いているか?
お前たちもまた別の種類の檻に閉じ込められた哀れな生命体だということを
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