第81話 風呂場、お約束?、あっ…

「残り2日…まだまだ冬休みがたりな~い~」

ソファーの上でじたばたしていると、

「あんたいい加減学校行きなさいや」

と母さんが呆れて言ってきた。


社会人になったら休みなんてそんなにないじゃないですか~休めるのは学生のうちの特権だと思うんですよね。うん、だからいっぱい休みたい。

「あんた最近どこにも行ってないんだから少しは体動かしてきなさい」

首根っこをつかまれ俺は外に放り出された。

「ちょ、ちょっと待ってください。防寒具というお慈悲を…」

「走ってくれば温まるでしょ」

オー、マイマザー?流石にひどすぎないかい?

玄関の鍵も閉められ、ドアの前に立っているのも寒くなってきたので走ってくることにした。


「喉が痛い…」

冷たい空気の中で走ると喉が乾燥して痛くなる奴に襲われていた。

「飲み物を買うお金すらくれなかったから家まで頑張るしかないのか…」

これがあるから冬場に運動ってしたくないんだよね…マスクでもすればいいのかな?

そんなことを考えつつ家に帰った。


「ただいま…」

喉がかっさかさなので水を一口飲んだ。

「ふう…何とか喉に潤いを提供できた…」

危なく声がガサガサになって何を言ってるかわからなくなるくらいにまで落ちるかと思った。

でも、ハスキーヴォイスとイケヴォってあこがれるよな~。

まあ、人それぞれだと思うけど


「お帰り、汗臭いからお風呂入ってきて」

「マジ?入ってくるわ」


「あったかい…」

湯船に肩までつかり温まっていた。

ほんっとにあったかい。湯船につかるとリラックスできて考え事がはかどったりアイディアが浮かんできたりするらしいね。

だから、俺も考え事してるんだけどさ…


本当にそろそろしっかり答えを出さないとみんな前に進めないからな…

俺だけが停滞しているなら自分のことだしどうとでもいい。

だが他人の人生に責任をとれるかと聞かれればNOと答える。

俺はそんなにできた人間じゃない、だから自分のことすらままならない。


そして、人をあんまり信用できていない。

信用できるのなんて、片手で数えられるくらいだ。

廉に京、春に燐、そして両親。これくらいだ。

櫻は親友と言っているが、浅いほうの親友だ。

親友にも、2種類ある。

・一線を越えないがそれでも周りよりも仲が良い

・自分のことを包み隠さずに相談できる人物

櫻は高校から会ったため、自分のことを腹わって話すというような関係には慣れていないし、慣れないと思う。

「あ~。のぼせてきた…」

今日の夜にでも考えるか…

俺は風呂を出た。


「あっ…」

「…、ば、ばかー」

俺が風呂に入っていると知らなかったらしい京は洗面台で顔を洗っていたので、一糸まとわぬ俺の姿を見て悲鳴を上げていた。

「わ、悪かった」

俺はすぐに風呂場に戻り、謝罪をした。

「…びっくりしたけど、こっちもごめん」

「ええ、なんか謝られると悲しくなってくるなぁ…なんでだろ」


あれ?ってかこれ普通逆だよね?俺が京の裸を見ちゃって椅子とかを顔に投げられて

「これが、おやく…そくか…」

とか言いながら気を失うんじゃないの?


どうやら、この世界はかわっているらしい。

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