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「これでチャラにしてやるよ。だってさ、高級ブランド服は高いんだぜ。せっかくプレゼントして貰ったのに、切り裂かれたら自腹で買わなきゃなんないだろ。俺の服をジョギジョギ切ったんだからさぁ、キスくらいしてくれてもよくね?」
「ふ、ふざけないで!」
動揺した私は、勢いよくカーテンを開き病室を飛び出す。
ナースステーションに戻っても、鼓動は早鐘のようにドキドキしていた。
まじで、ありえない!
唇を左手でごしごし拭った。それでも気持ち悪くて、水道の蛇口を捻り水で口をすすぐ。
彼の入院用カルテに視線を落とす。
『
――消防士だったんだ……。
だから熱傷を?火災現場で熱傷を負ったのだろうか?
でもどうして私服だったんだろう。
年上だと思っていたら、私と同じ歳じゃない。人を馬鹿にして、看護師を何だと思ってんの!
男の欲望を満たすための道具じゃないっつーのよ!
セクハラは、絶対に許さないから。
看護師が大人しくしてると思ったら、大間違いなんだからね。
私の怒りは、暫く治まらなかった。
――翌朝、午前八時、日勤の看護師との交代。
ナースステーションで申し送りを済ませ、帰ろうとした時、同僚の看護師、
彼女は私と同期で、同じく二十四歳だ。
「昨日、また急患だって?雫が夜勤の時って、いつも急患が入るよね。それで昨日の人ってどんな感じ?カルテを見るからには、私達と同じ年齢だし職業は消防士。ねっ、イケメンだった?」
あいつがイケメンかって?
そんなのどうだっていいでしょ。
看護師にいきなりキスをするような奴だ。理性を持たない野獣と同じだよ。
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