Works:217~グラデーション~

夢潰え

荒野に咲くのは赤い華


その名は後悔

一輪でぽつんとそこにある


やがて荒れ果てた地にも水の恵みがもたらされる

その恵みとは雨だ


喜びによる涙

その感情を得て


華は実をつける

その実は哀にして藍


やがて藍は転じて愛となっていく

片恋色となり


再び華を咲かせる

笑み混じりにそんなお伽噺を母親からされた子は


時を経てたどり着く

その目に飛び込んだのはただただ一つの色


かつて荒野だったと言われた地

今は恋色の花畑


大人となった彼女は理解する

母親の笑みの意味を


もっとも

彼女の隣に立つ彼の方はわかっていないようだが


彼女もまた笑み混じりに

彼のわき腹を小突く


二人のぎゃーぎゃーとした声が

風に乗って華々を揺らす

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