第4話 マッサージ と 小説

◇4◇


 こんな感じで、妹がラブレターをもらっていることを知った俺。

 存在を知るまでは「小豆最近寝るの遅いな~」なんて、眠い目をこすりながら窓に差し込む小豆の部屋のあかりを眺めていた。

 とは言え、量が少なかったのだろう。それほど遅くまで起きてはいなかった。

 だけど俺がラブレターの存在を知ってから。まぁ、俺が残りを持って帰ってきたからだろう。

 俺とのふれあいタイムも早々に切り上げて、残り全部。そう、大量の返事を数日間にわたって書いていたのである。

 いや、自分の用事を優先しなさい……お兄ちゃんなんて気にせずに。

 どう言う訳か、寝るのが遅くなることを承知で、早々に切り上げはするものの、お兄ちゃんとのふれあいタイムをおこたらなかった妹。いや、怠っても怒らないよ?

 しかも、時間が短くなってしまう罪悪感なのだろうか。普段よりもサービス満点なペット。頼んでないんですけどね。

 普段なら腕に絡まる程度の小豆だが……背中から覆いかぶさってきたり、胡坐あぐらの上に座ってみたり。

 正面から抱きついて、俺の胸に顔をうずめたりしている妹。

 本人曰く、「お兄ちゃん成分摂取せっしゅ~♪ でぇ、小豆ちゃんパワー急速充電中なんだよぉ?」との意味不明な理由である。

 俺の体に急速なんて高性能な機能はないし……そもそも俺は充電器じゃないぞ? あと、不純物を摂取すると暴走するんだぞ? 

 ……だから暴走しているのか。いや、俺は悪くない! 


 ただ、これくらいなら俺も我慢はできる。うん、色々な意味で。

 だけど、どんな理屈なのかは知りたくもないが。

 いきなり「お兄ちゃん、肩車してぇ~♪」などと、少し興奮ぎみに言葉を紡いでいた。いや、なんで?

 そして俺の背後に立って俺の両肩に両手をつくと、右足を肩に乗せようとするのだった。って、おい!


 さすがに俺も我慢の限界だった。体を前に倒して「さすがに勘弁してください!」と振り向かずに頭を下げながら懇願していたのである。まぁ、抵抗の意味で体を前に倒しただけなんだけどね。

 いや、肩車は……うーん、肩車自体が危険なのかも知れないが、きっと普段だったらマシなのだろう。

 だがしかし。

 その時の妹はだな。茹で小豆の包装に俺のTシャツ――この頃は洗濯済みのTシャツなんだけど。

 いや、まぁ、なんで俺のシャツなのかは、さておいて……。

 小豆の体よりは少しだけサイズの大きい俺のシャツを、ワンピース代わりに着ているのである。

 いや、海賊王ならぬ……猥褻わいせつ王に俺はなりたくないんだけどね。

 あと俺のシャツは、ゴ●ゴ●の実を食べていないので思いっきり下に伸ばさないでください。戻らなくなるので……。

 とは言え、小豆の着ているシャツは俺の寝巻き用。さすがに毎度毎度こんな風に伸ばされるので外出用にはできないのである。うん、伸ばさなくても確実に「たわわ~」って伸びる部分があるんだしさ。

 まぁ、だからって訳でもないが、寝巻き用のシャツについては一回ひとまわり大き目のサイズを選んでいるのだ。

 だが大きいとは言え、それほど大きいサイズではない俺のシャツ。小豆が着ても通常のワンピースとしては機能しない。まぁ、シャツですからね。

 せいぜい超ミニな……いや、外では着れないワンピースくらいだろう。

 だから、やたらと下を気にして、真っ赤な顔でシャツを思いっきり下に伸ばしている妹。いや、恥ずかしいんだったら下に何か履いてくればいいだろ?

 つまり素足で俺に肩車を強要してきたのだった。と言うよりも、そんな状態で肩車をするってことは。

 当然、俺の首筋に小豆の……を包んでいる布地が密着する訳で――って、お前は何を考えているんだ!

 ……まぁ、小豆は何も考えていないだろうし、きっと俺が色々考えているだけなんだと思うが。


 俺の精一杯の抵抗を理解してくれたのか。

 背中越しに聞こえてきた「むぅ~」と言う声とともに、両肩に乗せていた小豆の両手が離れていく。

 そんな風に、むくれられる意味がお兄ちゃんには『さっぱりピーマン』なのですがね。だって肩車をする理由がないんだからさ。


『さっぱりピーマン』とは。

 駄菓子菓子を使っている某女性声優さんが使っている言葉である。たぶん「さっぱり理解できません」って意味だと思う。

 だから『こってりピーマン』と言う言葉はないはずだ。いや、知らないけどね。


 小豆が離れてくれたことで安心した俺の目の前に、むくれた表情の妹は戻ってくると。

 その場で、うつ伏せに寝転んだのだ。……は?


「じゃあ~、マッサージで我慢するよぉ~」


 そんな声とともに体を揺さぶって両足でパタパタと俺の両膝を叩く妹。

 いや、痛いんですけど? そして「じゃあ」と「我慢する」の意味が『こってりピーマン』なのですがね。 

 と言うよりも足を向けて寝転んで足をパタパタされると見えるんですけどねぇ……肌色の先のピンクの桃が。い、いやいやいや、一瞬ですからね!


「……へいへい……」

「――ひゃん!」


 ピンクの桃を視界に入れてしまい、リコピンを摂取して真っ赤なトマト顔になっていた俺は。

 恥ずかしさを隠すように呆れた表情で妹の右足にふれていた。いや、マッサージするからだよ? 足を止めればピンクの桃も映り込まないしさ。

 ……ん? マッサージをさせる目的でパタパタしていたのか? まぁ、どっちでもいいな。

 冷房のせいか。緊張して手汗をかいていたせいか。すこし手の平が冷たかったのだろう。

 俺が小豆のふくらはぎにふれると、ビクッと体を震わせて甲高い声を発していた。


「……変な声だすなよ……」

「だぁ~ってぇ~」


 突然鼓膜に伝わってきた妹の声と、手に伝わる生暖かい感触で変に意識をしてしまう俺。

 マッサージなのにな?

 そんな意味を含んだ苦笑いを浮かべながら妹の背中に声をかけていた。

 顔だけを向けた妹は、うっすらと涙を浮かべているが高揚した面持ちで言葉を紡ぐ。

 

「……ちゃんと、してやるからベッドに寝ろよ?」

「うん、わかったぁ♪ ……はい♪」

「……おい」


 そんな妹に呆れ顔で言葉を繋いでいた。

 俺の部屋はフローリングだからな。クッションとか座布団くらいしか肌への衝撃を緩和かんわする素材はないのである。

 正直、妹の体に負担をかけるのは俺も気分がいいものではない。

 だから長時間寝転がっても大丈夫だろうと判断して、ベッドへと誘導していた俺。って、言うほど長時間なんてマッサージしませんけどね。

 俺の言葉を受けて嬉しそうな声色で返事をした小豆は、立ち上がるとベッドに移動して寝転んで声をかけていた。

 俺は、そんな妹の姿を眺めて怪訝けげんそうな表情で声をかけたのだった。


「ん? なぁにぃ~、お兄ちゃん? ……寝たんだから、はやくはやくぅ~♪」


 俺の言葉と表情を気にせずに、なおも嬉しそうな顔で催促さいそくしている妹。

 確かに俺が「マッサージをしてやるからベッドに寝ろ」と言ったのだ。妹の行動に疑問を覚えているのではない。だがな!


「……。――ッ! ななななんで仰向あおむけに寝て、両手を広げてんだよ!」


 そう、小豆は仰向けに寝転んで両手を広げて「おいでおいで♪」と言いたそうに、俺を誘惑していたのであった。

 ……俺が癒してやるはずなのに、俺の方が癒されるじゃねぇか。

 思わず小豆の放つ『母性オーラ』に吸い寄せられそうになっていた俺は、我に返って文句を言っていた。


「えぇ~? だって、マッサージってぇ……っている部分を、みほぐすんでしょぉ~? だったら『一番凝っている部分』を揉みほぐすべきかとぉ~?」

「肩な? かたかた! あと、背中だろ? と言うわけで、ほれほれ……」

「わわわ……きゃうん! ……」

「お、おい、大丈夫――」


 俺の言葉に不満そうな表情で言い訳をする妹。

 って、お前は何を考えているんだ!

 なんなの、その……ダイエット中の女子の目の前で、美味しそうに甘いものを頬張る無神経男子。

 ……身体測定前日に香さんの突き刺さる視線の意味がわからず、無神経に和菓子を頬張っていた俺。ああ、そう言う意味だったのか。大変失礼しました!

 的な、態度を取る小豆さん。

 お兄ちゃんが、いつも『いの一番』に考えて必死に消し去っているマッサージを提示してくんな!

 そんな俺の考えを見かされた気分になり、慌てて訂正を求めていた俺。

 そもそも『スイカが要因』なのかも知れないが、一番凝っている部分ではない気がする。まぁ、知りませんけど。

 本来の業務を成立させる為、俺は小豆の背中と桃の下に手を差し込んで回転させていた。

 その際、不可抗力で――

 お客さまの桃を……包む布地越しに手がふれていたが、故意こいではないことを付け加えておこう。なのでセクハラで訴えて、『責任』を取らせようとするのは勘弁してください……。

 まぁ、一瞬だったし、突然体が回転したことに驚いていたので特に言及げんきゅうはなかったけどな。


 グルッと回転した小豆は、勢いあまってシーツに顔を直撃して悲痛の声を漏らす。そして微動びどうだにしなくなっていた。

 わざとではないにしろ、妹に危害を加えてしまったのではないかと心配になって「大丈夫か?」と声をかける俺。ところが。


「すぅ~。ふぁ~。……えへへ~♪」

「……ほらよ?」

「……うぅん? わぁい♪ ……すぅ~。ふぁ~。……えへへ~♪」


 どうやら通常営業のようだった。

 それはそれで問題があるかも知れないが自分で誘導した手前、「やめろ」とも言えず。

 ひとまず業務を遂行すいこうするべく、小豆に枕を差し出していた。

 すると、枕に気づいた妹は……満面の笑みを浮かべて受け取ると、顔を埋めて通常営業――って、違うだろ!


「おなかの下に置けって!」

「――うにゃ! ……ぷぅ~」


 強引に妹の顔から引き剥がした枕を再び差し出していた俺。取られたからなのか、頬を膨らまして抗議の姿勢でいる妹。いや、寝たままですけど。

 ……何で怒られなきゃならんのだ?

 俺は最初から『おなかの下側に置く』ように渡したのだ。

 小豆の場合、うつ伏せに寝ると……どうしてもスイカが圧迫されてしまうからさ。

 枕じゃ役に立たないかも知れないけど、ないよりかはマシだと思って差し出しているのだ。……うん、毎回。

 そう、ここ数日間毎日のように繰り返される兄妹の日常なのである。

 ……なんで、この子は学習しないのだろう。毎回同じなのにオタオタする俺もだけどな。


「むぅ? ……はぁい……うんしょっと。……ん~♪ えへへ~♪ ……」


 渋々しぶしぶながらも一度起き上がり、枕を受け取る小豆。

 そして、俺に背中を向けるとシャツをめくり、枕を素肌に当てるとシャツで包み込んでいた。いや、そんな指定はしていないよ? 

 あと、背中しか見ていないからな。ベランダの窓はカーテン閉まっているので正面は見えないから。

 と言うより、だから俺のシャツが伸びるんだって。あと、枕に香り付けして、そのまま返されると寝不足になるので困ります……。

 そんな困惑の表情を浮かべる俺など、背中を向けているので当然気にする様子も見せず。

 身支度みじたくを終えた妹は俺の方に向き直ると。

 大きくなったおなかを優しくさすりながら満足そうに微笑んでいた。えっと、想●妊●でもしたのだろうか?

 なんとなくチラチラと自分のおなかと俺を交互に見やり、俺におなかを向けながら「ほぉら、パパでちゅよぉ?」と言いたそうな表情を浮かべていた妹。

 確かに、この場合……俺はお前のおなかの子のパパかも知れないが、お前はママじゃねぇだろ?

 だって、俺の枕なのだから。


「……ほ、ほら、マッサージするぞ?」

「ぷぅ~。……ふぁ~い……」

「……」


 とりあえず言及すると墓穴を掘りそうなので、サラッと流してマッサージをすることを伝えた俺。 

 すると一瞬むくれたけど、すぐに再び寝転がり……枕元で寝ていたほとりちゃんに顔を埋めて返事をしていた妹なのである。

 そんな妹に呆れ顔を送りながらマッサージを開始する俺。

 こんな感じで、少しの時間だけどマッサージを堪能した小豆は、とても満足げに自分の部屋に戻るのだった。

 


 たぶん、こんな濃密のうみつな時間のせいなのだろう。いや、普段も俺にとっては濃密ではあるけどさ……。

 夜遅くまで起きていることに体が悲鳴を上げていたのだと思う。

 だから小豆云々うんぬんと言うのは建前たてまえだったのかも知れない。もちろん、小豆のことを心配していたのはうそじゃないけどさ。


 そんな濃密な時間と俺達の苦労は、全校生徒にお願いをして了承してもらった数日後――。

 小豆が俺にファイルを差し出してきた日に一段落ついたようだった。

 正確には、返事自体は前日に書き終わっていたらしいのだが、ファイルにコピーを差し込む作業が当日終わったのだとか。これは俺にとっても、どうでもいい情報だな。

 だから、ふれあいタイムも通常営業へと戻っていたし、安心して寝てしまったのだろう。

 俺の部屋で寝ることが安心なのかは疑問だが、小豆にとっては『どっちに転んでも安心』なんだろうな。俺には一択だけど……。


 そして、結局あの日は寝てしまったから聞きそびれてしまっていた『小豆の返信の内容』なのだが。

 翌日、ふれあいタイム中に聞こうとしていた俺なのだが――。

 

「……ふふふふぅ~♪ ……お兄ちゃん、そこまでして知りたいのぉ~?」

「――いや、別に知りたくない! ……」

「えぇぇぇ……知ろうよぉ~?」


 いかにも『話したくてウズウズしてますオーラ』が充満していたので一刀両断しておいた。

 すると正解だったようで、驚きながらも困惑の表情で体を密着してくる妹。いや、知って欲しいのは話だよね?

  

 ――って、ああ……。

 すっかり忘れていたけど、小豆の誕生日にゲーム内容を「知りたいか?」って偉そうにもったいつけてみた時、バッサリと切り捨てていたのって、この時の仕返しだったのか。

 ……よく覚えていたな、こんなこと。まぁ、切り捨てて話を戻すか。


 正直、それまでは小豆の返信の内容が気になっていたんだけどな。

 冷静に考えれば『知らぬが仏』なのかも知れない。

 いや、さ……以前の退学騒ぎの時の原稿用紙を読んでいるからな。元々は別に読みたくて読んだのではないが。

 だって小豆の担任と、商店街のおじ様おば様方に呼び出されて頭を下げたときに、さ。


「処分はできませんし、持って帰ってください……と言うよりも、お兄さんは必ず読んであげること!」


 とか言われて、合計百枚の原稿用紙の束を押し付けられたのである。

 こんな重量よく持ってこれたよな、小豆……まぁ、アドレナリンが大量分泌ぶんぴつしていたのだろうか。

 いや、普段から学校の帰りに夕飯の買出しとかもしているから、俺が思うほど苦にはならないのかも知れない。

 だったら、「ラブレターも全部自分で持ち帰れよ……」と言いたいところなのだが。

 あれは単純に、あまねると俺を気遣ってのこと。

 小豆が持ち帰るのなら、彼女だって無理をしてでも持ち帰るだろう。そう言うことに対して自分にきびしい子だからさ。

 もちろん、彼女はお嬢様だから。

 彼女の専用車があって、染谷さんに運転手をさせることは可能だ。つまり、呼び出せば済む話なのかも知れない。だけど、彼女はそれをしないのである。


 

「あら、お兄様……私にはお父様お母様に頂いた『素晴らしい手足』があるのですよ? それなのに他人を利用などできるはずがないのです」


 俺が以前――二人が入学した直後。

 一緒に下校していた時に「車で登下校しないんだ?」と訊ねた際、ごく自然に紡がれていた彼女の言葉。

 もちろん彼女の言う「素晴らしい手足」と言うのが自画自賛じがじさんたぐいではなく――

 純粋に『御両親に産んで頂いた大切なもの』ってことなんだとは思う。

 だけど俺には言葉通りの意味――彼女の存在自体。外見的な部分だけではなく、内面的な要素もすべて。

 つまり、彼女が尊く素晴らしいのだと感じていたから、つい。


「……うん、雨音さんは魅力的で素晴らしい女の子だと思うよ?」


 などと、彼女の全身を眺めてから軽口を叩いてしまっていた。当然ながら口から出た言葉は本心だ。

 でも、俺の言葉を受けた彼女が瞬間湯沸かし器のように一瞬で沸騰ふっとうし、挙動不審きょどうふしんな態度を取っていたのを見て、瞬時に理解したのである。

 全身眺めているのを彼女も見ていたし、これって完全なセクハラじゃん。何言っちゃっているんだろ、俺……。

 まぁ、唯一の救いは俺が親友の兄貴であり。彼女の兄でもあるってことかな。

「シスコンの困ったお兄ちゃん」程度の解釈をしてくれたのだろう――


「……あ、あ、あ……ありがとう、ございますぅぅ、ぅ、ぅ、ぅ……」


 などと、そんな甘い考えは通用せずに。

 真っ赤な顔で礼を伝えていた彼女は最終的には泣き出してしまっていた。


『いっぺん、死んでみる?』 


 そんな某地獄な少女のアニメ作品の、主人公な彼女の決め台詞が脳裏をかすめる俺。

 いや、いっぺん死んだら戻ってこれないですよね? 異世界に転生でもするのでしょうか? でも彼女って神様ではなくて地獄な少女だし、閻魔えんま様寄りなので閻魔様転生になるのでしょうか?

 おやおや、新たな作品開拓が……って、神様は不特定多数いるから個人の苦労は大したことないのでしょう。

 だから題材になるのであって、閻魔様に苦労をかけてはいけませんね。元々苦労の耐えない職業なのですから……。


「ぅぅぅぅ……」

「よちよち♪ 泣きやみまちょうねぇ~♪ ……」


 そして俺も小豆に苦労をかけてはいけないのだろう。

 俺が脳内で変なことを考えている間中、泣いている彼女に胸を貸し、頭を撫でながらなぐさめている妹。

 苦労をかけてはいけないと思いつつも小豆が慰めているので、俺には邪魔することなく立ち尽くすことしかできないのだった。

 ……あと、妹の功績をたたえて、なんで赤ちゃん言葉なのかは棚上げしておこうかな。

 とにかく小豆の母性のおかげなのだろう。少しずつ声が穏やかになっていく彼女。

 ただ、俺には彼女の泣き顔が悲しみと言うよりは、嬉し泣きのように思えていた。って、加害者の自分勝手な解釈なんだろうけどね。

 すっかり落ち着いた彼女が妹から離れると、小豆は俺を見据える。


「お兄ちゃん!」

「――は、はいっ!」

 

 妹に強めの雰囲気で呼ばれた俺は、思わず直立不動で返事をする。

 いや、今回は俺が悪いんだし、親友を泣かせた罰は受けるべきなんだと思う。そう覚悟していたのにさ?


「わわわ私は……どう?」

「……え?」


 ビクビクしながら訊ねる小豆の言葉に思わず疑問の声を漏らしていたのだった。

 いや、何が「どう?」なんだろう。

 そんな疑問が顔に浮かんでいたのだろうか、小豆が言葉を繋いできた。


「だ、だからぁ~、わわわ私も、魅力的で素晴らしい女の子だと――」

「思っているに決まっているじゃないか、当たり前だろ? ……それで?」

「ひぇ? き、きまっているんだぁ……あ、あたりまえなんだぁ~。……えへへへへ~♪」


 すると突然こんなことを訊ねるものだから。

 言葉をさえぎって自然と答えを紡いでいた俺。そして先をうながしていた。

 いや、俺は普通にお前の「どう?」に繋がる言葉を待っていたんだけどな?

 なんで俺がお前を「魅力的で素晴らしい女の子だと思っているか?」なんて。

「アニメに視聴環境は必要ですか?」的な一択の質問をしてくるのだろう。

 だから俺は、きっとお茶をにごしてから本題に入るのだろうと踏んでいたのである。

 ところが先を促された妹は、すっとんきょうな声を発すると。

 突然、嬉々ききとした表情を浮かべて夢心地のような雰囲気を纏っていた。いや、だから続きは?

 そんな……本当に続きの気になるシーンでEDに突入するような。


「一週間、長っ! ……番組制作者さん、僕と友達になってください!」


 なんて、某一週間で記憶がリセットしてしまう少女に恋をした主人公。

 そんな二人を中心に物語が進んでいく……原作が四コマとストーリー形式のミックス作品である恋愛アニメ作品。

 その彼が作中の毎週、記憶をリセットしているヒロインの女の子に言葉をかけるように。

 番組終了後に製作者さんに毎週頭を下げてお願いして続きを教えてほしくなるような。

 気になる部分を残してEDへと突入していた小豆の質問。いや、普通の会話なんだから一話完結じゃねぇか!  

 既にEDが流れているのだろう。俺が呼んでも「えへへへへ~♪」とか「うふふふふ~♪」しか返ってこない。

 まぁ、俺のことは問題ではないんだけどな。お前は彼女の為に俺に何か言おうとしていたんじゃないのか?

 そう思って話題の主役である、あまねるに視線を向けると。


「ふふふふふ~♪」

「……」


 小豆と同じような微笑みを浮かべていたのであった。

 ま、まぁ、彼女が微笑んでいることには安心したけどさ。

 きっとEDもサビに到達したのだろう。

 二人は手に手を取り合い見つめ合いながら微笑みのデュエットを奏でていた。


 もちろん、魅力的で素晴らしい女の子二人の仲睦まじいデュエットは視聴者としては眼福がんぷくの極みなのだが。

 周囲の注目の的になっている状況に縮こまっていた俺。

 結局、特におとがめを受けることなく流されていたのである。


 なお、彼女のお父様。つまり、旦那様は某自転車部のアニメの影響か……会社へ向かうのもロードバイクでペダルを回しているそうだ。えっと……大財閥の当主様ですよね?

 とは言え、俺の周りにいる大人達は全員がロードに夢中なのである。

 男性陣は全員体育会系だし、女性陣は美容と健康の為らしい。

 まぁ、「結局のところ……若さを保つ為なんでしょ?」なんてことは睨まれるから絶対に聞けないけどね。

 あと、俺はロードよりもダウンロードに夢中ですけど、まったく関係ないね。


 だから子供そっちのけで大人達全員で遠出することも、たまにあるのだ。

 まぁ、智耶以外は全員高校生だから特に留守でも困らないだろう……と言うより、染谷さん達は残っているんだけど。

 そんな理由なのか。

 そう言う時は我が家にて、当たり前のように香さんとあまねるも集まって『お泊り会』が開催される。

 ……うむ、俺が参加していてもいいのだろうか。いや、自分の家なのですけどね。

 だって、俺にとっては本当の意味でのハーレムじゃないですか! 小豆以外好意を向けられておりませんが。

 そんな女子会の中に俺なんて放り込んで、親御さん達は一体何を考えているのだろうか。単なる番犬なのだと思うけど。  

 だから俺は番犬らしく部屋に閉じこもっているのである。なのに。

 何故か全員が俺の部屋に押しかけてくるのだ。……これ、なんてエ●ゲ? あと、就寝しゅうしん前の団欒だんらんの時間だけだよ?

 だけど、就寝前と言うことで……全員が風呂上りの、いわゆる『パジャマパーティー』なのである。

 某女性声優さん的に言うならば『パジャマポーリー』なのかも知れない。意味は一緒だけど。


 俺としては普段見ることのないパジャマ姿を拝めたり、楽しい時間を過ごせたり。

 それ以前に女子四人で手料理を振舞ってくれたりと、夢のような時間なんだけどさ。

 俺の存在理由を常に考えさせられるのである。

 まぁ、全員楽しんでくれているようだから気にしないでおこうかな。自己防衛の為にも。 


 とにかく、御両親からして滅多めったに車を利用しないこともあり、彼女も有事でない限りには車を利用しない。

 うん、だから犬の散歩中に急にリードを離してしまい道路に飛び出した犬をかばった人を、車でいてしまったりはしないのである。

 やっぱり俺の妄想コンセプトは間違いだらけ。……なのである。


 つまり小豆は、あまねるに『そんな理由』があるのと……あとは『頼られたいオーラ』全開のお兄ちゃんを気遣って、あの日にラブレターを持ち帰っていたのである。 



「うーん、しゃーなしだなぁ……ん? ……んん? ……んんん? ……」


 押し付けられてしまったし、俺に読むようにと念押しされた原稿用紙の束。

 目の前の塊に苦笑いを浮かべて言葉を発しながら一枚目を手に取ってみる。

 そんなことはあり得ないとは思うものの、何となく感想を求められても困ると感じた俺は、帰宅して自分の部屋で着替えを終えると床に座って原稿用紙の一枚目に目を通していたのだった。


『お兄ちゃ~ん、ごはんだよぉ~』

「――ッ! ……え? ……ふぅ~」


 夕方とは言え、日に日に太陽も遊び足りずと余韻よいんひたり、月の出番を遅らせはじめる、そんな時期。

 帰宅した時にはまだ日差しが部屋に差し込んでいたのだが――扉の向こうから奏でられる小豆の夕飯の声かけに気づいた俺を包んでいたのは、窓から差し込む夕焼けだった。

 我に返った俺の全身は部屋の温度に反応して汗ばんでいる。エアコンをけることさえ忘れていたのだろう。

 室温も時も忘れて夢中になり、ただひたすらに目の前の原稿用紙の文字を追っていた俺。

 時間にすれば一時間ってところだろう。だけど手に乗せた原稿用紙は最後の一文字『完』を記憶におさめて、おもむろに床へと置いたのである。


 とは言え、百枚を読破どくはしたのではなく……五十枚を読破したに過ぎない。

 それでも俺にとっては驚異的きょういてきなスピードなのだと思う。普段なら絶対に読めないペースだからな。

 床に置いた原稿用紙の束を眺めて軽く息をつく俺。心の中を反映はんえいするかのように満足げな笑みを浮かべているのが、うっすらと目の前の窓に映りこんでいたのである。


「……お兄ちゃ~ん……いない――ぁ?」

「ぁ……」


 俺が返事をしないからだろう。おもむろに扉が開くと小豆が顔をのぞかせていた。

 そして床に置かれた原稿用紙に気づくと小さく声を漏らす。

 妹の視線と声でさとった俺も小さな声を漏らすのだった。


 床に置いた原稿用紙の束。その目の前に座る俺。更に片方の束は無造作に置かれている。

 目を離すのも惜しいくらいに、新しい文字を追いながら床に置いていたから乱雑らんざつなのである。読み終えて、余韻を満喫してから整理しようと考えていた。

 でも整理する前に小豆に知られてしまったのだ――小豆の書いた退学届を勝手に読んでいるって、な。

 今の状況をかんがみて、俺が読んでいないなんて結論には至らないだろう。

 声が聞こえた時点で理解できたものを、余韻に浸りたいからと怠った俺の至らぬ結果なのだと思う。


 そう、確かに先生や商店街のおじ様おば様は「持ち帰って読みなさい」とは言っていた。

 だけど小豆を無視して勝手に読んでもいいとは言っていないはずだ。心意は知らないけど俺はそう思っている。

 とは言え、返してから「読ませろ」と言えば――まぁ、九割の確率で「うん、いいよぉ~」なんて気軽に差し出してくるとは思うのだが。

 何かの手違いで――


 たまたま休日を満喫しようとしていた社畜な主人公の彼が、ネットカフェで知り合ったJK。

 迷惑と危険行為をの当たりにした彼が、彼女を助けて一度キツクしかってあげたら恋心を抱かれてしまう。

 年の差と世間体せけんていを考えて離れようとするものの、彼女の猛アタックに翻弄ほんろうされる彼。そんな矢先やさき、彼に一枚の辞令じれいくだるのだった。それが。

 そのJKとの交際命令――彼女は彼の勤める会社の社長の孫娘なのであった。


 そんな年の差ラブコメなラノベ作品ばりな手違い――

「えー? お兄ちゃんになんて見せないよぉ~」なんて言われる可能性もあるのだろう。

 が、引き合いに出した素晴らしい作品の比喩ひゆにはいささか手違いをしょうじているのかも知れない。だけど、いつものことなので先に進めよう。


 仮に見せてもらえない可能性を考慮こうりょに入れて、感想が言える程度にはパラパラと読んでしまおうと考えた俺。

 まぁ? 本人が拒否をしたのなら「小豆に見せてもらえなかった」と、感想を求められても素直に自白すれば何も言われないんだけどさ。

 実際には違うとは思うけど「信用を裏切られた」なんて思われると感じてしまい、心の中で妹に謝罪をしてから読んだのである。サラッとなら、数分もしないで読み終えるだろうから「バレないしな?」なんて言い訳をしながら。

 うん、あくまでも感想を伝えられる程度にサラッと読んでしまおうと考えていた訳だ。それなのに……。

 気づいたら夢中になって読みふけってしまっていたのである。

 きっとまばたきをするのもしいと感じていたのだろう。目尻に涙がまっていたのだった。


「……読んだ、の?」


 そんな俺の姿を眺めて理解したのだろう。

 少し恥ずかしそうに顔を赤くしてモジモジしながら言葉を紡ぐ妹。

 やっぱり自分の小説――うん、これは退学届以前に論文とかって代物でもない。俺には小説……ライトノベルに思えていた。

 いや、論文なんて書かないから形式の定義は知らないけど……普通に、書籍のような小説形式。

 地の文と会話文を織り交ぜて物語を進める論文なんて存在しないと思う。あと、やたらと改行や空行もあるしさ。『……』や『――』も散りばめられているのだった。

 別に学校側が強制して書かせた訳ではなく、本人が自発的に書いて強引に提出した退学届なのだから文字数稼ぎとかを咎められる人間はいないし、形式についても文句を言う人間はいないのだろう。そして――。


「あ、ああ……ごめん! 勝手に読んで――」


 妹の姿を眺めて自分の過ちを再確認していた俺は、罪の意識にさいなまれ、悲愴ひそう面持おももちで頭を下げながら素直に謝罪をしようとしていた。

 小豆が部屋に入ってきた時から、勝手に読んだことへの罪悪感はあった。だけどそれとは別に。

 読者と作者。作者のあずかり知らぬ状態で読んでしまったこと。その冒涜ぼうとく感を覚えていたのだろうか。

 

 当然本人に渡されたからと言っても小豆の作品だ。それを第三者が勝手に何かをできる訳はない。

 だから先生もおじ様おば様も返却をしてきたのだと思う。

 その上で、俺には読む義務があると判断したから「必ず読んであげること!」と念押ししたのだろう。

 うん、半分とは言え読み終えた今ならば言葉の意味を理解できる。

 この作品は俺が読む為に執筆された、俺にとっての『究極のラノベ』なのだろう。


 とは言え、俺は素人だし小豆も素人だ。そして別に、生きとし生ける、すべての物書きの方々を小馬鹿にしているつもりもない。それでも――


『俺には小豆の書いた作品が今まで読んだ作品の中で一番おもしろかった!』


 暑さも時間も忘れて夢中になった作品なんて今までなかった。

 それは俺にとっての運命の出会い。最高傑作に出会えたからなのだろう。

 俺のボギャブラリーでは気のいた言葉が出てこないけど、これだけは断言できるのである。

 まぁ、当たり前なんだろうけどな。内容が俺と小豆の物語であり、二人だけの、誰も知らない日常の思い出話に脚色きゃくしょくを加えている話なんだからさ。

 ある意味俺にしか通じない面白さなんだとも思う。って、それが究極のラノベなのかも知れないけどね。

 その反面、恥ずかしくもあるけどさ。

 これを誰かが読んだってこと、これを自分が読んでいるってこと。

 でも、そう言う部分を差し引いても俺には面白かったし、残りの作品も読みたいと願っていた。


 学校と商店街に各五十枚ずつ書いたのだから、同じ内容なのだと思っていた俺。

 だけど学校側の作品を途中まで読んでいて。

「これ……商店街のにも書いてあるのか?」なんて疑問を覚えてチラッと商店街の方を覗いていた俺。

 いや、面白いんだけどさ。あくまでもテーマが『学校』に特化しているから。

 正直先生達には理解されても……まぁ、おじ様おば様にも学生時代はあったんだろうけどね。

 同じ内容を突きつけられても困惑するだけなんだと思う。

 ところが、チラッと覗いた程度だけどさ。

 同じ作品なんだろうけどテーマが『商店街』に特化していた。

 つまり、一つの作品の別テーマの二作品ってことなんだと思う。……えっと、そんな二作品を一日で書き上げたんでしょうか、小豆先生?

 ……俺なんて『ごめんな』って書くだけで半日以上時間を費やしたって言うのにさ。まぁ、俺のことなど別に関係ないけど。


 とにかく、そんな理由もあったのだろう。作品の面白さも当然だけど、もう一つの作品も読みたいから驚異的なスピードで読み耽っていたのかも知れない。

 だけど、小豆に勝手に読んでいるのがバレてしまった。

 怒っているかも知れない。それ以前に恥ずかしいのだと思う。目の前の妹を見れば一目瞭然いちもくりょうぜんだろう。 

 怒りと恥ずかしさで、原稿用紙を奪い取り、二度と読ませてくれないのではと考えていた俺。

 だから俺は謝罪をしていた。

 言いのがれのできる状況ではないんだ。

「読めなくても問題ない!」なんて思えないんだ。

 頭を下げて謝罪だってする。許してくれるなら何だってする……結婚以外なら。

 そう、もう一作品を読めるように。いや、今読んだ作品も再び読めるように。いや、違う。

 これからも、何度でも、小豆の作品が読めるように――。

  

「そ、それはいいの! ……」

「……」

「……そ、それでぇ……」

「あ、ああ……」


 頭を下げて「ごめん! 勝手に読んでしまった」と謝罪しようとしていた俺の言葉を遮るように、少し上ずった小豆の声が頭上から響いてくる。

 とりあえず謝罪に対して「それはいい」のだと解釈した俺は、おもむろに視線を小豆へと移していた。

 見上げる妹は変わらずに赤い顔でモジモジしている。

 さっきは罪悪感に苛まれていて気づかなかったのだけど。

 普段とは少し雰囲気が違って見える妹――いや、この時俺の目の前に立っていたのは霧ヶ峰小豆と言う女の子に思えていた。

 つまり、妹としてではなく一人の女の子として見ていたってこと。


 だからなのかも知れない。

 目の前の彼女を見つめて鼓動が高鳴る。体に熱を帯びる。心の底でき立つ想いを感じる。

 そんな言い知れぬ感情を纏いながら、彼女の次の言葉を待っていた。

 彼女は決意を固めたように口を開いて言葉を発する。

 そんな言葉に、俺も乾いたのどから言葉を投げ出す。

 すると一拍いっぱく後―― 


「どう、だった、かなぁ? ……」


 ビクビクしながらも俺を見据えて彼女は言葉を紡いでいた。 

 彼女の「どう?」を瞬時に理解していた俺。いや、それしか思い浮かばないしな。

 俺のボギャブラリーでは気の利いた言葉が出てこないけど、素直な気持ちを伝えようと思っていた。

 それでも。

 少しでも彼女に喜んでほしくて、俺にできる精一杯の気持ち。満面の笑みを添えながら――


「すごく面白かったぞ!」


 そう、彼女に伝えるのだった。

 俺の言葉を受けた彼女は表情をゆるめて嬉しそうに微笑みながら――


「そ、そっか……よかった――ッ! ……」

「お、おい……」


 そんなことを呟いていたんだけど、頬を伝う一雫ひとしずくの雨に気づいてクルッと背中を見せる。

 怒らせてしまったのかと心配になり背中に声をかけていた俺。

 だけど彼女が自分の右手の甲を頬に押し当て「ずずっ」と音を奏でたと思うと。


「ほ、ほら、お兄ちゃん、ご飯だってばぁ~? 早く来ないとぉ~、私がお兄ちゃんを食べちゃうぞ♪」

「それを言うなら俺の飯だろうが……って、それもイヤだが、俺を食べるんじゃねぇー!」

「きゃー♪ お兄ちゃんに食べられちゃう~♪ ……」

「って、何、捏造ねつぞうを騒いでんだ、こらー! ……ったく、な」


 再び俺の方へと向き直った彼女は――いつの間にか妹にチェンジしていた。まぁ、元から一緒だけどな。

 そして、こんな物騒ぶっそうなことを大音量で口走りながら部屋を出ていく小豆さん。

 まぁ、普段通りに戻っただけだし、それに……。


「……ふっ……さぁてと、めしめし……」


 俺は足元に残された原稿用紙の束を眺めて笑みを溢していた。

 有耶無耶うやむやな感じではあるものの、手元に残っていることを素直に嬉しく思っていた。

 小豆の反応からして読めなくなることもないのだろう。

 俺は、もう一作品へと期待に胸をふくらましつつ。

 先にお腹を膨らまそうとダイニングへと向かうのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る