第1話冒頭の主人公・カーディルの描写に圧倒された。
四肢を失い、チューブで戦車と完全に一体化した女性が戦車そのものを意のままに動かして戦う——この設定のビジュアルインパクトが凄まじい。ゴーグルで視界を確保し、思考で戦車を操る彼女の存在は、荒廃した世界における「人間と機械の融合」を体現している。
文体が重厚でリズムがあり、砂漠の荒野を疾走する戦車の描写から始まる冒頭は映像的な引力を持っている。「逃げるつもりはない、血よりも濃い朱の目がそう語っていた」というミュータントの描写も、敵側の存在感を高める優れた表現だ。
砲手ディアスとの短い会話のやり取りだけで、二人の長年の信頼関係と戦場での呼吸が伝わってくる。
暴走したDNAを持つミュータントが跋扈する荒廃世界を、戦車と化した女が生き抜く——こんな独創的なハードボイルドSFを他では読めない。完結済みなのも嬉しい。
荒野に押し寄せるミュータントの群れ。
救出に向かう少年の前に、四肢を失った少女が横たわる。
なんともゾクゾクするような風景ですが、これは始まりに過ぎません。
彼らは、銃を手に、戦車を手足のように操って、強くなっていく。
絶望と不安に彩られていた2人の関係も、次第に強固な絆となり、
ふと気づくと、濃厚いちゃラブ度もうなぎ登り。
でもそこで、( ̄ー ̄)ニヤリ と笑って、満足しないで!
中盤から、世界の荒廃と化け物たちの由来が、明らかになり、
多彩でおちゃらけたサブキャラたちが、それぞれの道を歩き出し、
一つの大きなうねりとなって、結末へとなだれ込みます。
戦闘シーンも、冒険も、仲間も、謎解きも、みな楽しいけれど、
一つの愛の形として、この物語を、見届けてほしい。
こんなに魅力的な物語が読めるとは思ってなかった。
荒廃した世界の片隅で、絶望的な状況に愛だけをささえに抗う二人の物語。
そうそう!こういうのが読みたかった!!
文明崩壊後の荒廃した世界って、こういうのだよね。
すべての希望を失い、死を待つしかない状況から、互いへの愛だけで支えあう二人が、やがて絶望を打ち破り、皆に希望をもたらす。そのエンディングが素晴らしい!!これな幸福に満ちたエンドはないでしょう。
主役2人の愛と献身のストーリーの脇で、歪んでしまった愛と希望、喪失と克服の物語、などの様々な人間関係が描かれ、ストーリーに惹きつけられ続ける。
世紀末SFすきなら、是非読んでほしい。